「建設業許可更新の期限が切れてしまった」「期限が切れてしまった際の対処法はないか?」
このような状況になってしまった場合にはどのような対処法があるでしょうか。
建設業許可は、取得した後のメンテナンスが必要不可欠です。なかでも許可の更新については期限があり、更新期限を過ぎないように注意が必要になります。
そこで今回は、建設業許可の更新期限切れについて解説していきます。更新の期限が切れるとどうなるのか、そのデメリットや対処法について見ていきましょう。
建設業許可更新の期限が切れるとどうなる?
建設業許可更新の期限が切れてしまうと、建設業許可は失効します。具体的には、許可が失効するため、以下のような問題が発生します。
- 許可を受けるため、再度新規で建設業許可の申請をする必要がある
- 新たに許可を受けるまでは、500万円以上の工事は請け負うことができない
許可が失効するため、改めて許可を受けるまでは無許可状態で営業しなければならないということになります。当然この間、許可が必要な工事を請け負うことはできません。
許可更新を忘れた際のデメリットとは?
許可更新を忘れることで生じるデメリットには、以下のようなものが挙げられます。
- 許可番号が変わる
- 許可取得まで無許可状態(500万円以上の工事を請け負うことができない)
- CCUS(建設キャリアアップシステム)の営業年数が0になる
- 経営事項審査を受ける際、許可を取るまでの営業期間がカウントできない
- 申請手数料が高くなる
(更新申請なら5万円だが、新規取得では9万円)
許可の更新を忘れて期限が切れてしまうだけで、以上のようなデメリットがあります。
CCUSや経営事項審査において不利になるだけでなく、営業の信用面においても大きな不利益があるといえるでしょう。
建設業許可の更新期限とは?
建設業許可の更新期限切れにならないためにも、一度許可を取得したらどれだけの有効危険があるのかを確認しておくことが必要です。
また、更新申請の準備はどのタイミングからはじめるべきかも、併せてチェックしておきましょう。
建設業許可の有効期間は?
建設業許可は、許可取得から5年が有効期間となります。
しかし、許可更新の申請は、5年の有効期間が満了する日の30日前までに提出しなければなりません。5年間の有効期間が切れる直前になって焦って提出しても間に合わない場合があるので、注意が必要です。
更新申請の準備は更に早めに行う
更新申請の準備は、有効期間満了の30日前までに申請ができるように進めておく必要があります。建設業許可の更新は、決算変更届をはじめとする変更届より、必要な書類が多いことが一般的です。例えば、以下のような準備が必要になります。
- 申請書類一式の作成
- 法務局や市区町村から必要な証明書の取得
- 決算変更届や他の変更届が提出されているか確認
申請書類の数が多いため、作成のノウハウがない場合はどうしても時間がかかってしまいます。また、法務局や市区町村から取得する証明書が、すぐには手元に届かないということも考えられます。
加えて、それまでに提出すべきであった決算変更届やその他の変更届等がきちんと提出されていないと、更新の申請はできません。これまで変更事項があったら適切に届出をしていたか、今一度確認する必要もあります。
更新期限の30日前に間に合うように準備をするのであれば、更に一か月、場合によってはそれ以上から、余裕をもって準備をすることをおすすめします。
更新期限が切れてしまったときの対処法は?
もしも更新期限を守れなかった場合、対処法としては、速やかに新規で許可を取得するための準備を行うことが挙げられます。
新規の建設業許可では、更新の申請より更に準備しなければならない書類が多くなります。できるだけ早く許可を取得できるように、まずは必要な書類や要件を確認するところからはじめましょう。
特に急ぐ場合は、専門の行政書士に相談することをおすすめします。専門家であれば建設業許可に関する知識や、申請に関するノウハウが豊富です。申請を依頼することで、書類作成や要件確認にかかる時間を節約できます。
更新期限切れを防ぐための方法は?
建設業許可を取得したら、更新期限切れがないようにメンテナンスすることが必要です。期限切れを防ぐために、以下のような点に気をつけましょう。
- 日頃から決算変更届等やその他の変更届を提出しておく
- 更新日の異なる業種があれば一本化しておく
- 更新に必要な要件を満たしているか事前に確認しておく
ここからは、以上の期限切れを防ぐために気をつけるべき点について、それぞれ解説していきます。
変更届は変更の都度提出しておく
更新期限間近になって「変更届を提出していなかった」ということにならないよう、変更届はその都度提出するようにしましょう。
役員や営業所、専任技術者等に変更があった場合、許可行政庁に変更届を提出する必要があります。これらの届出にはそれぞれ期限が定められており、怠ると罰則があります。
また、決算変更届を提出していないと、更新の申請をすることはできません。更新期限切れ直前に併せて準備しようとすると、肝心の更新申請も間に合わないことが考えられます。余裕をもって準備するためにも、必要な変更届はその都度提出しておく必要があります。
更新期限の異なる業種を一本化する
更新期限の異なる業種がある場合は、有効期間について一本化しておくことで、管理すべきスケジュールを減らすことができるので、管理上は有効です。
許可を受けた後に業種を追加するなどして、業種により更新期限が異なるということがあります。しかし、業種によって更新期限が異なると、スケジュール管理が複雑になり、申請を忘れてしまうことにもつながります。
そこで、更新の際に他の有効期間が残っている許可も同時に申請しておくとよいでしょう。例えば、以下のような考え方になります。
管工事:2023年4月1日が許可更新期限
電気工事:2023年9月1日が許可更新期限
以上の場合、管工事の更新申請の際、電気工事業の許可についても更新申請ができます。
「更新期限が複数あって、つい更新を忘れてしまっていた」ということのないよう、異なる業種の更新期限の一本化をしておきましょう。
更新に必要な要件を満たしているか確認する
建設業許可を更新するためにも、いくつかの要件をクリアすることが求められます。
例えば、社会保険には適正に加入しているか、法令の要件をクリアした常勤役員等、専任技術者などは在籍しているかなどです。
以上のような必要な要件についても、直前になって要件を満たしていないことが判明すると、更新期限までに対応が間に合わない場合もあります。
常に法令の要件に適合するかに注意を払いつつ、心配な場合は専門の行政書士に相談しておいた方がよいでしょう。
まとめ
建設業許可の更新期限切れについて、そのデメリットや対処法について解説してきました。
特に気を付けるべきポイントとして、以下の3つが挙げられます
- 更新期限切れになると許可が失効するほか、デメリットが多数ある
- もしも期限切れになってしまったら、新規で許可申請を行う必要がある
- 更新期限切れを防止するためにも、普段から建設業許可に関してメンテナンスが必要
建設業許可は、一度取得すれば永遠に効果が永続するものではありません。変更や更新といった、適切なメンテナンスが必要不可欠です。
「ついうっかり許可の更新期限を過ぎてしまった」「申請の準備をしていたら期限に間に合わなかった」
以上のようなことがないように、場合によっては専門家に相談することをおすすめします。