自己破産したことがあっても建設業許可は取れるのか?

「過去に破産した経験があっても建設業許可は取得できる?」「破産してしまったが、建設業許可を取得するにはどうすればよい?」

建設業許可の取得を検討されている方の中には、以上のような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

建設業許可を取得する場合、いくつかの要件をクリアしなければなりません。そのため、破産経験が許可取得に影響を及ぼすのではないかと心配になるケースも少なくないと思います。

そこで今回は、破産経験があっても建設業許可は取得できるかについて解説していきます。建設業許可取得の際に提出する書類や、許可取得の際の注意点についても詳しく見ていきましょう。

破産の経験があっても建設業許可は取得できる

過去に破産した経験があったとしても、復権を得ていれば建設業許可は取得することができます。

まず前提として、建設業許可を取得するためには、一定の要件をクリアしなければなりません。この要件の一つに「欠格要件に該当しないこと」というものがあります。

以下のような方が欠格要件に該当していると、許可取得が認められないというものです。

個人の場合 代表者本人、支配人など
法人の場合 役員、顧問、5%以上出資の株主など

そして、この欠格要件の一つに「破産者で復権を得ないもの」というものがあります。

例えば会社が建設業許可を取得しようとする場合、役員や顧問などが破産してから復権を得ていないのであれば、許可取得はできません。

これは、復権を得ない状態では「破産者で復権を得ないもの」として、欠格要件に該当してしまうため、建設業許可取得のための要件をクリアできないからです。

一方で、復権を得れば欠格要件に該当することはないため、許可取得は可能となります。つまり、過去に自己破産の経験があったとしても建設業許可の取得には影響がないのです。

復権とは?いつ得られる?

免責手続きが完了することで、復権を得たと言うことができます。

破産者であるのは、裁判所で手続きを行っている間の短期間のみです。この期間に同時並行で免責手続きというものを行っており、この手続きが裁判所で認められると、免責決定がなされます。この免責決定により負債はなくなり、破産者ではなくなります。これによって復権を得たと言える状態になるのです。

免責手続きを行って免責決定がなされるまでには、3ヶ月から1年程度の時間を要します。

建設業許可で復権を得たことを証明する書類

たとえ過去に破産の経験があった場合でも、「身分証明書」を提出することで、復権を得たことを証明することができます。

この身分証明書とは、本籍地の市区町村役場で取得することができる公的な証明書です。内容としては、成年後見の有無や破産の有無を証明するものになります。

この身分証明書を建設業許可の許可行政庁に提出することで、復権を得たということを証明することが可能です。もっとも、過去に破産経験がなくとも建設業許可申請では提出が必須の書類です。

注意が必要なのは、この身分証明書は役員の全員分を準備しなければならないという点です。

上記のように身分証明書は本籍地の市区町村役場で取得しなければならず、場合によっては遠方の役場に請求をしなければならないケースもあります。取得までに1週間〜10日以上かかる場合もあるため、過去の破産経験の有無に関わらず、余裕をもって取得するようにしましょう。

破産経験があり建設業許可を取得する場合の注意点

過去に破産経験があり、建設業許可を取得を検討される場合は、特に以下の点に注意が必要です。

  • 過去の資料は破棄しないこと
  • 破産の手続き中は許可取得できない

以上についてどのような点で注意が必要か、一つずつ確認しておきましょう。

過去の資料は破棄しないこと

破産手続きが終わった後、過去の資料は破棄しないように気をつけましょう。

破産手続きを弁護士に依頼する場合、大抵は契約書や注文書、確定申告書などを預けることになります。しかし、これらの資料はこれまでの経営経験を証明するために重要な書類です。許可取得の際に必要になる場合もあります。

もしも過去に建設業許可を取得していた場合は許可行政庁に資料が残っている場合もありますが、保存期間があるほか、取得・確認の手間も増えてしまいます。

以上のように過去の資料は大変重要ですが、弁護士に預けて手続きが完了すればそのまま廃棄してしまう、というケースも考えられます。コピーして手元に置いておく、手続きが完了したら忘れず書類を返却してもらうなど、過去の資料を廃棄してしまわないように気をつけましょう。

破産の手続き中は許可取得できない

過去の破産経験は許可取得に影響を及ぼしませんが、「復権を得ていない」状態にある破産の手続き中は、許可取得できない点に注意が必要です。例えば自社で建設業許可を取得しようとする際、役員の中に破産の手続きをしている方がいれば、許可取得はできません。

以上のような場合でもできるだけ早く建設業許可を取得したい、という場合には、破産手続き中の方に役員から外れてもらう必要があります。特に注意が必要なのは、破産手続き中の方が経営業務の管理責任者等として設置しようとした方である場合です。この場合、要件を満たす他の方を役員として迎える必要があります。

なお、破産手続き中であり、復権を得ていない場合であっても、取締役などの役員でなければ、社員として働くことは可能です。

まとめ

破産の経験があっても建設業許可は取得できるかについて解説してきました。まとめると、以下のようになります。

  • 建設業許可要件の一つに「欠格要件に該当しないこと」があり、この欠格要件の一つに「破産者で復権を得ないもの」がある。ただし、過去に破産経験があっても、復権を得ていれば許可取得に影響はない。
  • 破産者であるのは、裁判所による免責決定がなされるまでの期間のみ。場合にもよるが、復権までにかかる期間は3ヶ月〜1年程度。
  • 「破産者で復権を得ないもの」に該当しないことを証明するのは、本籍地の市区町村役場が発行する「身分証明書」。
  • 破産手続きをするにあたっては、契約書、注文書、確定申告書等の過去資料を廃棄しないように気をつける。

過去の破産経験については許可取得に影響はないものの、破産手続き中である場合は、裁判所の免責決定まで待たなければなりません。

自社で建設業許可を取得する場合は、役員等の中に「破産者で復権を得ないもの」に該当する方がいないか、事前に確認しておくようにしておきましょう。

 

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