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経営事項審査(経審)の点数をアップさせる方法と資格について解説!

公共工事の入札に参加するために、経営事項審査(経審)の受審は必須です。一方で、経審について以下のような疑問や悩みをお持ちの方も少なくないと思われます。

「経審の点数アップのためにできることは?点数アップする資格はある?」
「そもそも経審の点数はどのように計算される?」

そこで、今回は経審の点数をアップするための技術者等の資格について解説していきます。経審の点数がどのように計算されるかを確認しながら、点数がアップする資格の具体例についても見ていきましょう。

経審点数の計算方法

経審の点数とは、総合評定値(P点)のことを指し、総合評定値は、以下の5つの要素から計算します。

● X1 完成工事高
● X2 経営規模
● Y 経営規模
● Z 技術力
● W その他

経審の点数アップのためには、まず点数がどのように計算されるのか知っておくことが必要です。まずは以上の5つがどのようなものなのか、それぞれ確認していきましょう。

X1 完成工事高

X1は、完成工事高を用いて経営規模を表す評点です。

業種別の完成工事高により、42の区分ごとに評点を計算します。評点に使う平均完成工事高は、2期分または3期分の平均によって計算することになります。
2期平均、3期平均の選択は任意で行えるため、実際に計算をしてみてより金額の大きくなる期間を選ぶようにしましょう。

X2 経営規模

X2は経営規模を表す評点です。具体的には、1年分または2年分の平均の自己資本額と、 2年分の平均利益額から計算することになります。

Y 経営状況

Yは経営状況を表す評点です。

建設業財務諸表の数値が計算の基礎になり、特に以下の要素が点数に関係してきます。

● 純支払利息比率
● 負債回転期間
● 総資本売上総利益率
● 売上高経常利益率
● 自己資本対固定資産比率
● 自己資本比率
● 営業キャッシュ・フロー
● 利益剰余金

建設業財務諸表は、建設業以外で使用されるような一般的な財務諸表とは細かい相違点もあります。税理士などが作成する決算書から建設業財務諸表に作り変えるという点にも、注意が必要です。

Z 技術力

Zは技術力を表す評点です。

2期分または3期分の平均元請完成工事高と、技術職員が保有している資格・技術職員数から計算します。

平均元請完成工事高についても、2期分、3期分の期間は任意に選択することができます。ただし、X1の平均完成工事高ち期間を合わせる必要があるので、注意が必要です。

技術職員の保有資格による点数については、後ほど詳しく解説します。

W その他

W点ではその他の評点として、以下の8つの点から点数を計算します。

● 担い手の育成及び確保に関する取組の状況
● 営業年数
● 防災協定の締結の有無
● 法令遵守の状況
● 建設業の経理の状況
● 研究開発の状況
● 建設機械の保有台数
● 国または国際標準化機構が定めた規格の登録の有無(ISO、エコアクション21)

また、審査基準日が令和5年8月14日以降である場合は、CCUSの導入が加点対象になっています。以下の①〜③を全ての公共工事で実施していれば10点の加点、民間工事を含む全ての工事で実施していれば15点の加点です。

  1. CCUS上での現場・契約情報の登録
  2. CCUS上に終業履歴を蓄積できる体制の整備
  3. 経審申請時の誓約書の提出

その他の評点は、加点・減点の振り幅が大きいことも特徴の一つです。どのような要素が加点になるかを把握したうえで、ポイントを抑えた準備の必要があります。

経審点数がアップする資格とは

技術職員の保有する資格によって、Z(技術力)に関する点数がアップします。ここからは、資格によってどれだけ点数がアップするか、点数アップする資格の具体例や、注意点について解説していきます。

資格者ごとの評点

技術職員が保有している資格によって、アップする点数が異なります。アップする点数と技術者の種類についてまとめると、以下のようになります。

点数 技術者の種類 対象者・資格の具体例
6点 1級技術者かつ監理技術者講習受講者 1級の国家資格または技術士法に基づく資格を保有し、かつ監理技術者資格者証の交付を受けている人

例:1級土木施工管理技士+監理技術者講習の修了

5点 1級技術者 1級の国家資格または技術士法に基づく資格を保有している人

例:1級土木施工管理技士

4点 監理技術者補佐 監理技術者補佐の資格を保有している人

例:1級土木施工管理技士補

3点 基幹技能者 登録基幹技能者講習の修了者または能力評価基準によりレベル4と判定された人

例:登録電気工事基幹技能者

2点 2級技術者 2級の国家資格、1級の国家資格を保有しているまたは能力評価基準によりレベル3と判定された人

例:2級土木施工管理技士

1点 その他の技術者 2級の国家資格を保有かつ実務経験を有する人または実務経験による主任技術者

例:電気主任技術者+実務経験5年
実務経験10年による主任技術者

1級技術者の場合は、資格の保有だけでは5点の加点ですが、監理技術者講習を受講することで、6点の加点となり、点数がアップします。

内容としても、技術者の方が一日講習を受講し、事務的な手続きを行うだけです。点数アップを狙うのであれば、監理技術者講習の受講を検討することをおすすめします。講習の有効期間は5年間のため、期限には注意しましょう。

点数アップになる資格の具体例

業種ごとに加点となる資格が異なるため、点数アップを狙う業種に対応する資格を保有しているか、事前に確認しておく必要があります。

ここでは一例として、土木一式工事、とび・土工・コンクリート工事、管工事に対応する資格の一部をご紹介します。

土木一式工事の点数アップになる資格

土木一式工事については、以下のような資格によって点数がアップします。

● 1級土木施工管理技士
● 2級土木施工管理技士(土木)
● 1級建設機械施工管理技士
● 2級建設機械施工管理技士

とび・土工・コンクリート工事の点数アップになる資格

とび・土工・コンクリート工事については、以下のような資格によって点数がアップします。

● 1級土木施工管理技士
● 2級土木施工管理技士
● 1級建築施工管理技士
● 2級建築施工管理技士

管工事の場合

管工事については、以下のような資格によって点数がアップします。

● 1級管工事施工管理技士
● 2級管工事施工管理技士

ここまでご紹介してきた資格はあくまで一例になりますが、業種によって対応する資格が異なることが確認できたかと思います。資格による点数アップを目指す場合、点数アップしたい業種に対応する資格はどのようなものかを事前に洗い出すことが重要です。

資格による点数アップの注意点

資格によって経審の点数をアップさせたい場合、以下の点には注意が必要です。

● 1人あたり2業種までしか評価の対象にならない
● 新規採用の場合、6ヶ月を超える雇用関係が必要になる

まず、1人の技術職員が複数業種の資格を保有している場合でも、2業種までしか評価対象になりません。3業種以上の資格を保有している場合は、どの業種を評価対象にするか検討する必要があります。

また、既に資格を保有している技術者を新たに雇用し、経審の点数をアップさせるという方法も考えられます。ただし、新規採用の場合は、審査基準日時点で6ヶ月を超える雇用関係が必要になる点に注意が必要です。これを踏まえて、経審を受審するタイミングや、技術者の新規雇用の時期を検討しましょう。

まとめ

今回は、経審の点数の計算方法や、点数アップのための資格に関して解説してきました。
まとめると以下のようになります。

● 経審の点数はX1(完成工事高)、X2(経営規模)、Y(経営状況)、Z(技術力)、W(その他)の5つの要素から計算する。
● 技術職員の保有する資格によってZ点が加点される。ただし、資格ごとにアップする点数は異なり、業種によっても対応する資格は異なる。

経審の点数アップを目指す場合、技術職員の保有資格は大きな要素です。保有資格を自社で把握しておくことはもちろん、監理技術者講習の受講や資格保有者の新規雇用についても、検討の価値はあると言えるでしょう。

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