建設業許可と解体工事業登録の違いとは?

解体工事業を営まれる方で、「建設業許可」や「解体工事業登録」という言葉を耳にされたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。ただ、聞いたことはあっても「建設業許可」と「解体工事業登録」の違いについて曖昧なケースもあるかもしれません。

今回は、「建設業許可」と「解体工事業登録」の違いについて詳しく説明していきたいと思います。

建設業許可と解体工事業登録の違い

まず始めに、建設業許可と解体工事業登録の違いについて簡単に説明します。主な相違点としては「請負うことのできる施工金額」「許可・登録要件」「取得後に維持するための手続き」等が挙げられます。

基本的な考え方としては、建設業許可の方が解体工事業登録と比較して取得のハードルが高いです。その為、取得している場合の信用についても一般的には建設業許可の方が解体工事業登録より高いと言えます。

建設業許可(解体)とは

建設業許可の解体について簡単に説明します。

建設業許可とは、「軽微な建設工事」を除き、建設業を営もうとする全ての方が対象となり、国土交通大臣または都道府県知事の許可を受けるものです。また、建設業許可は29業種に分かれており、今回見ていくのはそのうちの「解体工事業」という業種です。

名前の通り、工作物の解体を行う工事を行う際に必要となる許可で、解体工事業登録と似ている部分があるものの相違点も多くあり注意が必要です。元請業者、下請業者の別はなく取得は必要です。

解体工事業登録とは

次に解体工事業登録について説明します。

解体工事業登録は、解体工事を請け負う営業をしようとする方で、元請・下請に関わらず、解体工事を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならないものです。ここでいう解体工事とは「建築物の全部解体」や「建築物の一部解体」、「屋根版の全部交換」等のことを言います。

上記3つは例示ですが、考え方としては、構造耐力上主要な部分を解体する工事の場合に解体工事業登録が必要となります。ただ、構造耐力上主要な部分の解体であったとしても、解体工事業登録が不要な場合もあるため、要否の正確な判断が必要な場合には、各都道府県に事前に確認することが確実です。なお、建設業許可同様元請業者、下請業者の別はなく取得は必要です。

建設業許可と解体工事業登録の主な相違点

それでは、「建設業許可」と「解体工事業登録」の主な相違点について確認していきます。

資格者や申請先などの許可・登録を受ける上での相違点から、請負金額や施工場所など実務上の相違点もあるので注意してください。

技術者の要件について

許可・登録の要件である技術者の相違点について説明します。それほど大きな相違点はないものの、比較すると解体工事業登録のほうが資格者の範囲が広くなっています。

建設業許可(解体)における資格者

建設業許可における技術者(専任技術者)についてですが、「解体工事施工技士」や「土木施工管理技士」、「建築施工管理技士」の資格を持っている方が必須です。なお、「土木施工管理技士」と「建築施工管理技士」については、平成27年度までの合格者の場合には、実務経験または登録解体工事講習の受講が必要となります。

資格がない場合でも、実務経験で技術者とすることができる場合もあります。

解体工事業登録における技術者

解体工事業登録における技術者について、実務経験等あるものの、多くの業者様は「公益社団法人全国解体工事業団体連合会」が実施する「解体工事施工技士」の試験に合格された方を技術者として設置されているケースが多いようです。

その他、「土木施工管理技士」、「建築施工管理技士」、「建築士」、「建設機械施工技士」等の資格でも技術者として認められますが、合格率等の兼ね合いから「解体工事施工技士」の資格者の方を技術者とされる場合が多いようです。

施工できる工事請負金額について

「建設業許可」と「解体工事業登録」で、施工できる解体工事の請負金額の相違点について説明します。実務上も関係してくる部分となりますのでご注意下さい。

建設業許可(解体)における施工金額

建設業許可(解体)における施工金額は、税込みで500万円以上の解体工事を請け負う場合に必要となります。

もちろん、建設業許可を取得したうえで500万円未満の工事を請け負うことは問題ありません。前述のように、建設業許可が必要とされる工事は「軽微な建設工事」以外の工事を請け負う場合とされていることから、「軽微な建設工事」とされる基準が請負金額500万円ということになります。

解体工事業登録における施工金額

一方、解体工事業登録における施工金額について、税込みで500万円未満の解体工事を請け負う場合に必要となります。

「軽微な建設工事」とされる工事で、上記の建設業許可を必要としない工事です。そのため、建設業許可の一般的な業種(電気工事業等除く)とは異なり、解体工事を営もうとした場合には請負金額が500万円未満であっても解体工事業の登録を行う必要があります。

申請先について

次に、「建設業許可」または「解体工事業登録」を取得する際の申請先の相違点について確認していきましょう。

建設業許可(解体)における申請先

「建設業許可」の場合、「都道府県知事許可」と「国土交通大臣許可」がありそれぞれ申請先が異なります。

「都道府県知事許可」の場合には、各都道府県が申請先となります。「国土交通大臣許可」の場合には、各地方整備局が申請先になります。

解体工事業登録における申請先

「解体工事業登録」の場合には、各都道府県が申請先になります。

工事を行うことのできる場所について

「建設業許可」と「解体工事業登録」それぞれにおいて、工事の行うことのできる場所について解説していきます。実務にも直結し、「建設業許可」をとるか「解体工事業登録」をとるかの指標の一つとなるのではないでしょうか。

建設業許可(解体)における工事場所

「建設業許可」について、「都道府県知事許可」であっても「国土交通大臣許可」であっても許可を取得した場合には全国で施工が可能となります。例えば、仮に東京都知事許可を取得していたとしても神奈川県や千葉県での施工も可能ということです。

解体工事業登録における工事場所

一方、「解体工事業登録」は登録をした都道府県内でしか施工をすることができません。そのため、例えば、東京都で登録した場合には東京都内でのみ解体工事を行え、神奈川県や千葉県で解体工事を行う場合には改めて、神奈川県や千葉県で登録をしなければなりません。この点は、建設業許可と大きく異なる点となるため注意が必要です。

申請手数料について

最後に、「建設業許可」と「解体工事業登録」をそれぞれ取得する際に必要となる手数料について説明します。

まず、「建設業許可」についてですが、「都道府県知事許可」と「国土交通大臣許可」があります。今回は「解体工事業登録」と比較されることの多い「都道府県知事許可」について説明します。「建設業許可」を取得する場合の法定費用は9万円です。

一方、「解体工事業登録」を取得する場合には4.5万円となります。比較すると、「解体工事業登録」の方が安く必要書類等も少ないことを考えると、「解体工事業登録」の方が取得のハードルが低いと言えます。

まとめ

今回は「建設業許可」と「解体工事業登録」の違いについて説明しました。

取得する際の要件の違いから、施工金額や施工エリアのような実務上の違いもあったため、今後「建設業許可」と「解体工事業登録」のどちらかの取得を考えられている方はご参考にしていただければと思います。

また、「建設業許可」はもちろんのこと、「解体工事業登録」についても要件がクリア出来ているかや、そもそも登録が必要かどうかも含め、建設業許可や解体工事業登録の経験が豊富な行政書士に一度相談することをご検討ください。

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