建設キャリアアップシステムは義務化されるのか?

「建設キャリアアップシステムが義務化される?」「建設キャリアアップシステムは登録したほうが良いの?」という疑問をお持ちの方は多いかと思われます。

すでに官民問わず導入が進められている建設キャリアアップシステム(CCUS)ですが、義務化に関する話題やメリット・デメリット両方の意見も交わされています。

そこで今回は、建設キャリアアップシステムの義務化について解説していきます。具体的な取り組みの事例も確認しながら、建設キャリアアップシステムは登録すべきかについても見ていきましょう。

建設キャリアアップシステムとは?

建設キャリアアップシステム(CCUS)は、技能者の経歴や保有資格といった情報をICカードに蓄積するシステムです。

事業者・技能者が情報をシステムに登録し、元請け事業者も各現場の現場名や工事の内容をを登録します。技能者にはICカードが交付され、現場に入場する際、備え付けのカードリーダーにかざすことで、就業実績がデータとして蓄積されます。

以上のように情報を蓄積し、業界横断的に技能者を評価する仕組みが、建設キャリアアップシステムであると言えます。

建設キャリアアップシステムはいつ義務化?

建設キャリアアップシステムは令和5年度からの完全実施に向けて以下のような取り組みが行われています。

  • 建退共のCCUS活用への完全移行
  • 社会保険加入確認のCCUS活用の原則化
  • 国が発注する工事のほか、地方公共団体や民間が発注する工事も完全実施を原則化

現時点では義務化はされていませんが、国土交通省は民間工事を含めたすべての現場でCCUSを導入するよう働きかけています。また、現場での利用以外にも、建退共や社会保険加入の確認といった手続き面で建設キャリアアップシステムの活用も原則化しています。

以上から、建設キャリアアップシステムは現段階で義務化こそしていませんが、その活用に向けての取り組みが進んでいることがわかります。

建設キャリアアップシステム義務化の背景

建設キャリアアップシステムの普及が進められている背景には、建設業界の人材不足があります。

現在、建設業界はその他の業界に比べても人手不足であるようで、その理由の一つが、建設業界でキャリアを積んでも適正な待遇に反映されにくい構造と言われています。

これまでの建設業界には、積み上げてきた実務経験を評価する仕組みがありませんでした。そうした技能者の処遇を改善し、ひいては業界の人材不足解消のため、建設キャリアアップシステムの普及が進められています。

建設キャリアアップシステムはどれだけ登録されている?

建設キャリアアップシステムの登録状況は、2023年2月時点で以下のとおりです。

2023年2月の登録数 2023年2月末時点の登録状況
技能者 21,391 1,110,866
事業者 3,537 212,572
事業者(一人親方除く) 2,240 144,691

表からもわかるように、毎月登録者は年々増えています。一年前と比較すると、技能者では25万以上、事業者では4万以上、登録者数は増加しています。普及に向けた取り組みも積極的に行われているだけに、登録数が右肩上がりであることが窺えます。

建設キャリアアップシステムは登録するべき?

建設キャリアアップシステムには多数のメリットがある反面、デメリットに関する意見も交わされています。ここからは、建設キャリアアップシステムには登録すべきかについて、そのメリットとデメリットを比較しながら解説していきます。

建設キャリアアップシステム導入のメリット・デメリット

建設キャリアアップシステム導入にあたって、事業者・技能者それぞれ違ったメリットがあります。まずは双方の視点からどんなメリットがあるのかを見ていきましょう。

導入メリット

建設キャリアアップシステムを導入することで、事業者には以下のようなメリットがあります。

  • 優秀な人材の確保につながる
  • 現場管理の効率化に寄与する
  • 従業員の技能や経験をアピールができる
  • 経営事項審査の加点対象になる ※2023年1月から施行
  • 自治体によって公共工事の加点対象になる

建設キャリアアップシステムは、会社で働く技能者にとってメリットの大きい制度です。導入することで、優秀な人材を確保することにつながります。また、データを蓄積するために出退勤の際に利用するためのカードリーダーなどを設置することで、現場管理も容易になります。

加えて、経営事項審査での加点対象になる、公共工事の加点対象になるなど、登録すること自体がメリットになる場合もあります。

また、技能者から見たメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 自身のキャリアの証明が簡単になる
  • 技能者として適正な評価を受けられる

技能者自身が経験した工事の情報や保有する資格に関する情報は、全てシステム上に蓄積されていきます。キャリアアップや転職をする際には、その情報を提示することで、自身のキャリアを簡単に証明できるという点は大きなメリットと言えるでしょう。

また、技能者としてのキャリアの見える化によって、適正な評価・待遇にもつながります。

導入デメリット

建設キャリアアップシステムの導入にはメリットがある反面、デメリットもあるようです。詳しくは以下の記事をご参照ください。

建設キャリアアップシステムは早めの登録がおすすめ

メリット・デメリットから考えて、建設キャリアアップシステムには早めに登録することをおすすめします。デメリットの面でもお話したように、揃えるべき書類が多く、登録の準備にはどうしても時間がかかってしまうからです。一方で、原則化の流れからみても、CCUSの登録には大きなメリットがあります。

登録のための時間を取ることができない場合には専門の行政書士に相談するなど、早めに準備を進めたほうが良いと言えるでしょう。

建設キャリアアップシステム普及の取り組み

建設キャリアアップシステムの普及に向けて、官公庁・民間企業問わず様々な取り組みがなされています。ここからは、具体的にどのような取り組みがなされているか、その事例を見ていきましょう。

民間企業での取り組み

民間企業では、例として以下のような取り組みがなされています。

  • CCUSのレベル別に日額手当を支給する制度実施
  • 職長の認定にCCUSカード保持を義務化
  • 職場内の役職の認定の要件にCCUS登録を義務化
  • 民間の求人情報誌やマッチングアプリで、CCUSロゴの表示

企業内でのキャリアアップのために建設キャリアアップシステムが活用されています。また、CCUSのレベルによって手当が支給されるなど、待遇面での活用も進んでいるようです。

官公庁での取り組み

官公庁では、例として以下のような取り組みが挙げられます。

  • ハローワークにて、建設業への就職を希望する求職者に対してCCUS登録済みの建設事主の求人情報を提供・ 応募を勧奨
  • 求人申込書にCCUS登録の記載を勧奨
  • 公共職業能力開発施設においても職業訓練受講者に周知

主に厚生労働省と連携して利用促進が行われており、ハローワークや公共職業能力開発施設等で働きかけが進んでいます。

まとめ

建設キャリアアップシステムについて、その義務化に関する話や登録のメリット・デメリットについて解説してきました。

まとめると以下のようになります。

  • 建設キャリアアップシステムは令和5年度から原則化
  • 技能者の処遇改善や人材不足解消のため、活用が進められている
  • 事業者と技能者双方にメリットがあるが、登録には手間もかかる

積極的に活用が進められている建設キャリアアップシステムですが、一方で登録にかかる手間には不満の声もあるようです。専門の行政書士に依頼することで、こうしたデメリットは解消できる場合もありますので、迷った際には一度専門家に相談してみることをおすすめします。

建設会社様を全力で
サポートします!

「建設業許可の申請や管理をプロに相談したい!」
「経営事項審査、入札、公共工事を受注したい!」
「建設業の労務管理について相談したい!」
「建設業の会計をスムーズにしたい!」
といったお悩みのある方は、まずは一度ご相談ください。

建設業許可の手続きの悩みすべて解決!
公共工事受注までの全ステップをサポート!
社長、一人親方の労災特別加入にも対応!

建設業に強い税理士が在籍、
経理レビューから決算まで対応します。