建設業許可が取れないケースがある?欠格要件とは?

建設業許可には欠格要件というものがあります。その他の要件をクリアしていても、この欠格要件に一つでも当てはまれば、許可を受けることができません。

そこで今回は、建設業許可の欠格要件について解説していきます。欠格要件に該当しないことを証明する方法についても確認していきましょう。

建設業許可の要件とは?

建設業許可の欠格要件について、建設業法では以下のように定められています。

  • 申請書の記載に虚偽等がある
  • 許可を受けようとする者が建設業法第八条第一号~第十四号に該当する

まずは、これらの規定について詳しくみていきましょう。

申請書の記載に虚偽等がある

建設業許可の申請書の記載に虚偽の記載をしたり、重要な事実の記載が欠けている場合、許可を受けることができません。

また、許可を受けた後に欠格要件に該当することが発覚した場合は、許可を取り消されることになります。

ここで注意が必要なのは、「重要な事実の記載が欠けている」、つまり、単純な書き忘れでも不許可になる場合があるという点です。

事例として、常勤役員等やそのほかの役員について、略歴書や調書を提出する必要があります。この書類には「賞罰」という欄があり、過去に刑を受けたことがあれば、記載しなければなりません。例えば、会社の役員が過去に事件を起こし罰金刑を受けていた場合は、略歴書にその旨を記載することになります。

しかし、過去に刑を受けたことを忘れており、この「賞罰」の欄に記載をしなかった場合、それが「重要な事実の記載が欠けている」と判断されることにつながります。

許可を受けた後にこの事実が発覚した場合は許可を取り消され、その後5年間は許可を取得することができません。

建設業法第八条の第一号~第十四号に該当する

建設業許可を受けようとする者が、以下の①~⑭に該当することで不許可になる場合もあります。

  1. 破産手続き開始の決定を受けて復権していない
  2. 不正に許可を得たり営業停止処分等に違反し、建設業許可を取り消されてから5年経過していない
  3. 許可取り消しを免れるために廃業届を出し、その届出から5年経過していない
  4. 上記の届出があった場合、許可取り消し処分に係る処分の通知の前60日以内に当該法人の役員であり、届出から5年経過していない
  5. 営業停止を命じられ、停止期間が経過していない
  6. 営業を禁止され、禁止期間を経過していない
  7. 禁固以上の刑の執行が終わり、または執行を受けることがなくなってから5年経過していない
  8. 建設業法や他の法令に違反して罰金刑の執行が終わり、または執行を受けることがなくなってから5年経過していない
  9. 暴力団員または暴力団員でなくなってから5年経過していない
  10. 精神の機能の障がいにより建設業を適正に営むために必要な認知・判断・意思疎通を適切に行えない
  11. 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者で、法定代理人が①~⑩に該当する
  12. 法人で役員等や政令で定める使用人が、①~④、⑥~⑩に該当する
  13. 個人の政令で定める使用人が、①~④、⑥~⑩に該当する
  14. 暴力団員等が事業活動を支配している

建設業の許可更新の場合には、①、⑦~⑭に該当することで不許可となってしまいます。許可を受けてからも以上の要件に該当しないよう、普段から注意が必要です。

欠格要件の対象となる役員等とは?

法人の場合、役員等が欠格要件に該当すると許可を受けることができません。この「役員等」とは誰のことを指すのか、確認しておきましょう。

具体的には、建設業許可においては以下のような人物を「役員等」といいます。

  • 取締役
  • 業務執行社員
  • 理事
  • 執行役
  • 顧問
  • 相談役
  • 株主等(5%以上の出資者)

取締役をはじめとした役員が対象になるのはもちろん、一定以上の出資をしている株主なども役員等になります。肩書が役員の方のみでなく、以上のような実体的に影響力のある人物たちも欠格要件に該当していないか注意しましょう。

欠格要件に該当しないことを証明するには?

欠格要件に該当しないことを証明するため、以下のような疎明資料を許可行政庁に提出することになります。

疎明資料 証明内容
誓約書 許可申請をする会社の役員や個人が欠格要件に該当しないことを誓約
登記されていないことの証明書 法務局で取得。成年被後見人ではないことを証明
身分証明書 本籍地の市区町村で取得。破産の通知、後見登記の通知を受けていないことを証明

また、成年被後見人や被保佐人であっても、医師の診断書を提出することで欠格要件に該当しない場合があります。

欠格要件に該当するのは、あくまで「精神の機能の障がいにより建設業を適正に営むために必要な認知・判断・意思疎通を適切に行えない」ことになります。

言い換えれば、医師の診断書により「必要な認知・判断・意思疎通」が適切に行えることが証明できれば、欠格要件には該当しません。

執行猶予やブラックリストは欠格要件にあたる?

「執行猶予やブラックリストに入っている場合、欠格要件にあたるか」という疑問をお持ちの方も多いと思われます。

ここでは、それぞれについて解説してきます。

執行猶予は猶予期間経過で欠格要件にあたらなくなる

執行猶予の場合、執行猶予期間が経過すれば即座に欠格要件に該当しなくなります。

執行猶予は、猶予期間が経過すると、刑自体が失効することになります。そのため、猶予期間が終わってからさらに5年間待つ必要はありません。

ブラックリストに入っていても欠格要件にあたらない

クレジットカード会社等のブラックリストに入っていても、それ自体が欠格要件にはあたりません。

破産手続き開始の決定を受けている場合は欠格要件に該当し、許可を受けることはできませんが、一方で復権し、破産者でなくなれば、許可を受けることができます。破産手続きでいう復権とは、免責決定が出て弁済を免除された状態を言います。

まとめ

建設業許可の欠格要件について、実際にどのような要件があるかを解説しました。

まとめると、以下のようになります。

  • 欠格要件等に該当すると、不許可や許可取り消しになる
  • 申請書に虚偽があったり会社の役員等が刑を受けてから5年間経っていない場合等が欠格要件に該当する
  • 執行猶予は猶予期間が経過すれば欠格要件に該当しなくなる
  • ブラックリストに入っていることは欠格要件にあたらない

建設業許可を取得・更新する際に、欠格要件に該当すると、許可を受けることができなくなったり、一度受けた許可が取り消しになってしまうことにもなります。

申請の前に欠格要件に該当しないかを確認することはもちろんですが、申請書の記載忘れや漏れがないかにも注意しましょう。判断に迷う場合や、疑問がある場合は一度専門の行政書士に相談することをおすすめします。

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