「東京都の入札に参加したいけど、どのような手続きが必要かわらかない」
「東京都の競争入札に参加したい」
以上のような疑問や希望をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
東京都が発注する入札案件に参加するためには、入札参加資格を得なければなりません。そのためにはあらかじめ申請をしておく必要がありますが、申請手続きが複雑でわかりにくいという方も多いかと思います。
そこで今回は、東京都の入札参加資格について詳しく解説していきます。東京都の入札参加資格申請の流れや、受付の時期についても確認していきましょう。
東京都の入札参加資格とは?
東京都が公募する入札案件に参加するために必要な資格が、入札参加資格です。
東京都の入札案件に参加するのであれば、まずは事前に資格審査を受け、入札参加資格を得ていなければなりません。ここで注意が必要なのが、東京都の発注する案件に参加するには、都の入札参加資格が必要という点です。
同じく都内の入札案件であっても、23区や都内の市町村が公募する案件に参加するには、「東京電子自治体共同運営電子調達サービス」によって、都とは別の申請が必要です。
これは、都内市区町村の入札参加資格を取得していたとしても、都が発注する案件には参加できないということでもあります。また、都内にある省庁や外郭団体などについても、個別に申請が必要になるので注意しましょう。
東京都の入札参加資格の種類
東京都の入札参加資格は、「建設工事等」と「物品買入れ等」という2つの種類に分けることができます。
建設工事等の資格とは
建設工事等は、文字通り東京都が発注する工事の入札に参加することのできる資格です。東京都の建設工事に関する入札参加資格の大きな特徴として、業種の多様さが挙げられます。
業種の数は、令和5・6年度の受付では109種あります。
他の自治体などでは建設業29業種から希望業種を選択することが一般的であるため、非常に細分化されていることがわかるかと思います。
また、ものによっては複数の業種について経営事項審査の受審が必要な業種や、同時に申請ができない業種もあるため、大変複雑です。申請にあたっては、申請に必要な条件を正確に抑えておかなければなりません。
物品買入れ等の資格とは
一方、物品買入れ等は物品の納入や業務の委託といった入札に参加することができます。
こちらも、営業種目は多岐にわたります。さらに、1つの営業種目からいくつもの取扱品目に区分されるため、自社の取り扱う業務がどの種目・品目に当てはまるかは、事前によく確認しておきましょう。
また、営業種目・取扱品目一覧表にない物品・業務についても、「その他の物品」や「その他の業務委託等」を選択することで、申請することができる場合があります。
それぞれの資格の関係
両者はそれぞれ申請を受け付け、資格も個別のものです。そのため、どちらか一方のみの資格を取得していても、もう一方の業種の入札に参加することはできません。
物品買入れ等の資格を保有していても、都の発注する工事の入札には参加することができないということです。「物品納入や業務委託だけでなく、工事の入札にも参加したい」という場合には、両方の入札参加資格を取得しておく必要があります。
東京都入札参加資格の受付の種類
東京都の入札参加資格の受付には定期受付と随時受付という2つの種類があります。
東京都入札参加資格の定期受付とは
定期受付は、2年に1度受付が行われるものです。申請をすることで、次年度から2年間入札参加資格が有効となります。
令和4年秋に行われる受付に申請をすることで、令和5年4月1日から令和7年3月31日までの2年間、資格が有効です。
東京都入札参加資格の随時受付とは
対して随時受付は、いつでも受付が行われています。申請をすることで、資格適用日から定められた年度まで資格が有効になります。
例えば、令和5年度に申請したのであれば、資格適用日から令和7年3月31日まで資格が有効です。
随時受付の場合は、各月の10日前後までの期限が設けられており、期限内に申請することで、翌月1日が資格適用日になります。
月ごとの期限について、詳しい日程はマニュアルに掲載されているため、よく確認しておきましょう。
なお、定期受付、随時受付どちらで申請を行っても、入札参加資格自体に変わりはありませんが、以上のように資格の有効期間が異なります。
東京都の入札参加資格の流れ
東京都の入札参加資格は、以下のような流れで申請を進めます。
- 申請の手引の確認
- 電子証明書の準備
- パソコンの環境設定
- 申請データの入力・送信
- 審査書類の電子送付
- 審査結果の確認
- 審査結果通知書の確認・資格取得
申請をするといっても、東京都の場合はそのための確認や準備もしなければなりません。ここからは、以上の流れについて一つずつ確認していきましょう。
申請の手引の確認
まずは申請について詳しく記載されている手引・マニュアルを確認します。東京都の入札参加資格は、「東京都電子調達システム」を利用して申請を行います。申請の流れや業種についての詳しい説明、システムの操作方法が記載されたマニュアルがあります。
東京都電子調達システムに掲載されているので、まずは手引をよく確認しておくようにしましょう。
電子証明書の準備
手引・マニュアルで申請の流れを確認したら、電子証明書を準備します。
最初に触れたように、東京都の入札参加資格申請は、東京都電子調達システムを用いた電子申請により行います。そして、システムにログインするために必要になるのが、電子証明書です。
電子証明書とは、インターネット上で本人確認をするための身分証明書です。電子証明書を準備するにあたって、以下の要件を満たすものを購入しなければなりません。
特に利用者氏名や購入先や購入先を誤ると、システムを利用した申請を進めることができないため注意が必要です。
電子証明書は、購入してから手元に届くまでに2週間〜1ヶ月程度の時間を要します。必要な期間は電子認証局によっても異なるため、事前に確認のうえ、余裕を持って準備しましょう。
パソコンの環境設定
システムを利用するために、パソコンの環境設定も行う必要があります。
電子証明書を購入したら、申請に利用するパソコンに、電子証明書利用のための環境設定をしなければなりません。同時に、パソコン上で「信頼済みサイトへの登録」や「ポップアップブロックの例外設定」といった設定も必要になります。
以上のような環境設定が適切にできていないと、システムが正常に使えず、システムにログインができません。こちらもホームページに事前準備として掲載されているので、よく確認しながら準備をしましょう。
申請データの入力・送信
システムに申請データを入力し、送信することで申請となります。
パソコンの環境設定等の事前準備が完了したら、システムにログインし、入力フォームに直接情報を入力していきます。申請する業種などによっても、入力すべき内容や量が異なります。必要な情報を手元に準備し、入力を進めます。
場合によっては、入力に当たって事前に準備しておくべき書類もあるため、入力前にマニュアルを確認しておくことも重要です。
審査書類の電子送付
審査書類の電子送付(アップロード)も必要になります。
申請データを入力、送信した後は、必要な書類をシステムにアップデートします。例えば、以下のような書類のアップロードが求められます。
取得までに時間がかかることもあるため、これも余裕をもって準備しておくことが重要です。
審査結果の確認
申請が完了したら、審査結果の確認も忘れてはなりません。
システム上の申請状況照会によって、申請した内容が承認されているかを確認します。審査書類が送付済みになったものから順番に審査されていくため、定期的にシステムを確認するようにしましょう。
承認された場合は、受付票が印刷できるようになっています。受付票を印刷し、実印等を押印、印鑑証明書を貼付して保管しておきましょう。
否承認の場合には、承認されなかった理由が記載されています。否承認理由に従い、データの修正や追加書類を送付しなければなりません。
審査結果通知書の確認・資格取得
承認されれば資格適用日から名簿に登載され、資格取得となります。システム上では審査結果通知書が確認、印刷できるようになっています。入札情報サービスによって名簿も公開されているため、確認しておくようにしましょう。
まとめ
東京都の入札参加資格について、申請の種類や流れを解説してきました。まとめると、以下のようになります。
- 東京都が公募する入札案件に参加するためには、東京都の入札参加資格が必要。
- 入札参加資格の種類は、物品納入や業務委託の入札に参加できる「物品買入れ等」と、工事の入札に参加できる「建設工事等」の2つがある。
- 受付には定期受付と随時受付があり、受付時期や有効期間が異なる。
- 申請には「東京都電子調達システム」を利用する。事前に準備しておくものが多いため、事前にマニュアルを確認しなければならない。
東京都が発注する入札案件は件数も多く、その金額も規模の大きいものです。入札参加資格を得て入札に参加するメリットは大きいでしょう。
一方で、事前準備や入力事項が複雑で、思わぬ時間を取られてしまうことも考えられます。また、資格適用日以降に申請内容に変更があった場合は、その都度変更申請も必要になり、さらに手間がかかる場合もあるでしょう。
難しいと感じた場合は、専門の行政書士への相談も検討しながら、手続きを進めることをおすすめします。