入札参加資格における等級・格付とは?

「入札参加資格の等級とは何かわからない」

「入札参加資格の等級・格付を上げるには?」

入札参加資格の申請を検討する方、既に申請を終え資格を取得した方も、以上のような疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

「売上によってされるランク付け」のように聞いたことはあっても、詳しく理解しているという方は少ないと思われます。

そこで今回は、入札参加資格の等級とは何かについて解説していきます。東京都や全省庁統一資格を参考に、計算方法や等級による違いも確認していきましょう。

入札参加資格の等級とは

入札参加資格の等級とは、競争入札において各事業者に与えられたランクのことです。

各事業者の等級は、売上高や従業員数、営業年数などによって計算されます。また、建設工事の等級では経営事項審査の総合評定値(P点)によって決定されるケースも多いです。

計算の基礎となる項目は、自治体や業種によっても異なりますので、各自治体の公開している情報をよく確認しておきましょう。

等級によって、参加できる入札案件の発注金額が異なります。等級が高ければ高いほど、発注金額の高額な、より大きな入札案件に参加することが可能です。

以上のような等級によるランク付けと、等級によって発注金額が異なることで、各事業者の規模に応じた入札案件の発注を行い、適正な履行が確保されています。また、発注が大企業のみに偏らないための仕組みであるとも言えるでしょう。

実際の競争入札参加にあたっては、すべての等級が対象になるものなど、多くの事業者が参加できるような入札案件もある一方で、東京都のように、同一の等級でもさらに順位を付すケースも存在します。

大まかな仕組みは以上のとおりですが、計算方法や等級による違いは、自治体により細かく違いがあります。自社が入札参加を希望する自治体がどのような基準で等級を決定するのか、申請前に確認しておくことも重要です。

入札参加資格の等級の計算方法

入札参加資格の等級の計算方法は、自治体や業種ごとに異なります。

細かな違いを確認するため、今回は東京都の入札参加資格と全省庁統一資格を例に挙げ、どのような項目が点数に影響するのかを見ていきましょう。

東京都入札参加資格(物品買い入れ等)の計算方法

東京都入札参加資格の物品買入れ等の業種では、「客観的審査事項」と「主観的審査事項」により計算を行います。そして、客観的審査事項と主観的審査事項のどちらか低い方の等級になります。

例えば、客観的審査事項の等級がA、主観的審査事項の等級がBとなった会社があった場合、この会社の等級はBということになります。

客観的審査事項は、以下の事項をもとに点数を計算します。

  • 年間総売上高
  • 自己資本額
  • 従業員数
  • 流動比率
  • 営業年数
  • 障害者雇用の割合(実雇用率)

また、以上の他に、ISO9001や環境マネジメントシステム(ISO14001等)を取得していれば、年間総売上高に規定の割増率を加算できます。つまり、点数アップにつながるということです。

一方で、主観的審査事項は、業種ごとに定められた営業種目別売上高によって等級が変わります。

例えば、「事務用品、什器関係」の営業種目では、売上高が1億円以上であればA、1億円未満から3,000万円以上であればB、3,000万円未満であればCになります。

「清掃、警備、保守管理及び調査業務関係」では、売上高が3億円以上がA、3億円未満から1億円以上がB、1億円未満がCになります。

以上のように営業種目によって等級の算出方法がことなるため、自社がどの等級になるか事前に確認をする場合は、まず東京都の手引きを確認しておきましょう。また、東京都ではさらに同一等級内で、営業種目別に売上高の大きい順に順位が付されます。

東京都入札参加資格(建設工事等)の計算方法

東京都入札参加資格の建設工事等でも、客観的審査事項と主観的審査事項で計算をし、どちらか低い方の等級となります。

客観的審査事項は、申請に経営事項審査の受審を必要とする業種か否かで異なります。申請に経審が必要な業種は、対応する業種の総合評定値(P点)が点数となります。

申請に経審を必要としない業種では、以下をもとに計算を行います。

  • 完成工事高
  • 自己資本額及び利益額
  • 納税額
  • 技術職員数及び元請完成工事高
  • その他社会性(営業年数や防災協定締結の有無など)

主観的審査事項では最高完成工事(業務)経歴により算出されます。

東京都の入札参加資格では、業種ごとに東京都の発注した工事、他官公庁の発注した工事、民間が発注した工事のうち、請負金額が最大のものを一つずつ申請することができます。この金額によって、格付けが行われることになります。

また、建設工事等でも物品買入れ等と同様に、同一等級内で順位が決定されます。順位は、年間平均完成工事高の高位順、自己資本額の高位順によって決まります。

全省庁統一資格の計算方法

全省庁統一資格では、以下によって点数を計算します。

  • 年間平均生産・販売高(前2か年の平均実績高)
  • 自己資本額の合計
  • 流動比率
  • 営業年数
  • 設備の額 ※物品の製造のみ

以上のように、売上高や自己資本額、流動比率、営業年数は、東京都の等級とも共通しています。

入札参加資格の等級による違い

入札参加資格の等級による違いは、参加できる入札案件の発注金額です。

発注金額の違いも、それぞれの自治体や業種ごとに額が異なります。例えば、東京都の物品買入れ等の入札参加資格では以下のように定められています。

事務用品、什器関係

A:1000万円以上
B:1000万円未満~300万円以上
C:300万円未満

清掃、警備、保守管理及び調査業務関係

A:3000万円以上

B:3000万円未満~1000万円以上

C:1000万円未満

同じく東京都でも、建設工事等の入札参加資格では等級がA~Eまであり、以下のように定められています。

土木工事

A:3億5000万円以上
B:3億5000万円未満~1億6000万円以上
C:1億6000万円未満~4000万円以上
D:4000万円未満~1000万円以上
E:1000万円未満

自治体や業種によって等級を算出するための計算方法が異なるように、等級ごとに定められている発注金額も、自治体や業種によって異なります。

以上を踏まえて、各自治体の公開する手引き等の情報を事前によく確認しておくことが重要です。

入札参加資格の「無格付」とは

入札参加資格における無格付とは、等級によるランク付けをしない状態のことです。

例えば東京都の建設工事等の入札参加資格では、最高完成工事(業務)経歴がない業種については、無格付となります。つまり、主観的審査事項により点数をつけることができないため、等級によるランク付けができないということです。

物品買入れ等の入札参加資格では、申請営業種目の審査対象事業年度に売上高がない場合に、無格付となります。

無格付となった場合は、比較的小規模の入札案件にしか参加できなくなります。例えば東京都の建設工事等では、以下の入札案件にのみ参加することができます。

  • 一件の予定価格が500万円未満の工事の請負
  • 一件の予定価格が30万円未満の設計、 測量及び地質調査の委託、船舶の製造等の請負

申請しようとする業種について、自社に実績があるか、事前に確認しておくことが必要です。

入札参加資格の等級を上げるには

入札参加資格の等級を急に上げることは難しいと言えます。

ここまで解説してきたように、等級には売上高や自己資本額、営業年数等が関係します。そのため、長期的な取り組みによって、これらを少しずつ増加させていくしかありません。

一方で、東京都の建設工事等のように、経営事項審査の総合評定値(P点)が関係する場合は、等級を上げられる可能性もあります。経審の点数をアップさせることで、等級のアップも狙うことができるからです。

専門の行政書士であれば、経審の点数アップに関するノウハウもあります。点数を上げたいという場合は、まずは専門家への相談を検討してもよいでしょう。

まとめ

入札参加資格の等級とは何かという点について、解説してきました。まとめると、以下のようになります。

  • 入札参加資格の等級とは、事業者に与えられたランクのこと。与えられた等級に応じて、参加できる入札案件が異なる。
  • 等級の算出方法や、等級ごとに参加できる入札案件の額は、自治体や業種によって異なるため、手引き等でよく確認しておくことが重要。
  • 入札参加資格の等級をすぐに上げることは難しく、長期的な取り組みを行っていく必要がある。しかし、経審の点数を上げることで、等級アップができる可能性はある。

等級は事業者の規模に応じて与えられるランクです。等級が上がれば、規模の大きな入札案件への参加も可能になります。

自治体によって細かく異なる部分でもありますので、申請先ではどのように定められているか、一度確認してみてはいかがでしょうか。

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