建設業許可の承継制度とは?ポイントを解説!

建設業許可の承継制度という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。

あまり馴染みのない制度かもしれませんが、状況に応じて上手く活用できれば大きなメリットのある制度となります。今回は、建設業許可の承継制度に関するポイントを解説していきたいと思います。

建設業許可の承継制度とは

まず初めに、建設業許可の承継制度の概略やメリット・デメリット、承継制度を活用できるいくつかの場合について解説していきたいと思います。

そもそも「建設業許可の承継制度」についてですが、基本的に建設業許可は各要件を具備し申請書類等を準備して申請することによって取得します。ですが、「建設業許可の承継制度」を活用することにより、他社の建設業許可を承継することが可能となる制度です。

どのような状況でも取得できるわけではなく、限られた状況で建設業許可を承継することが可能です。以下、詳しく解説していきます。

承継制度のパターン

次に建設業許可の事業承継におけるいくつかのパターンを見ていきましょう。

個人事業主が法人成りをして承継をする場合

建設業許可を取得している個人事業主が業務拡大等の理由により法人化をする場合です。

これまでであれば、上記の場合には個人事業としての建設業許可を一度廃業して、法人としての建設業許可を新規で取得する必要がありました。

この方法には大きなデメリットがあります。具体的には、個人事業を廃業してから法人で新規取得するまでの間(法人の新規取得を申請中の審査期間)は無許可業者の状況となってしまい、その期間には500万円以上の建設業の工事を請け負うことができないということです。

事業承継の制度を活用することにより、建設業許可の空白期間が生ずることなく、500万円以上の建設業の工事を請負うことが可能となります。

建設業許可の無許可業者が建設業許可の許可業者から承継する場合

建設業許可を持っていない業者が、建設業許可を持っている業者から建設業に関する事業を承継する場合です。

この場合は、法人の一部や全部を吸収合併する等の場合が想定されます。複数の建設業者を同時に吸収合併する場合にもこの方法を使うことができます。複数の業者を吸収合併する場合には、いくつか条件がある為ご注意ください。

建設業許可の許可業者が建設業許可の許可業者から承継する場合

承継する事業者と承継される事業者が双方建設業許可を受けている場合です。業種が被っていないことや常勤役員等(経営業務の管理責任者)や専任技術者を誰にするか等を調整することになります。

建設業許可の承継制度における「承継日」とは

建設業許可の承継において、どの時点を「承継日」とするかがポイントです。建設業許可における承継日は、「事業譲渡をする日」となります。

具体的な例を挙げますと、「個人事業主が法人成をして承継をする場合」においては法人設立日(又は法人設立後の任意の日)、「建設業許可業者から事業承継する場合」においては、吸収合併日や事業譲渡をすると契約上で定めた日です。

もちろん、確認書類は求められるため双方(譲渡する側と譲渡される側)が譲渡日については認識、合意している必要があります。

建設業許可の承継制度のメリット

建設業許可の承継制度のメリットは、やはり、許可の空白期間が生じないという点です。

後ほど詳しく説明しますが、事業承継や個人事業の法人成りなどによって建設業許可業者が他の法人格等を得ようとする場合、承継制度を活用しないと建設業許可のない期間が生じてしまいますが、建設業許可の承継制度を活用すると、この空白期間が生じず、事業を継続的に行うことができます。

また、建設業許可を持っていない事業者が承継制度を利用する場合には、人的要件をそのまま承継することにより、建設業許可取得のネックとなりがちな「常勤役員等(経営業務の管理責任者)」「専任技術者」の条件をクリアしやすくなります。

建設業許可の承継制度のデメリット

建設業許可の承継制度のデメリットは、申請スケジュールがタイトになりがちという点です。

建設業許可の承継制度は承継日から逆算して事前申請(申請書類提出)を行います。そのため、承継日から前もって申請準備が進められていた場合には問題ありませんが、申請日が迫っている状況から申請準備を始めると、申請期日までかなりタイトになるか、最悪申請期日に間に合わないケースも起こり得ることとなります。

そのため、承継日が決まりましたらなるべく早く必要書類等を準備する必要があります。

建設業許可承継の流れ

建設業許可の事業承継の流れを解説します。簡単な流れは以下のようになります。

事前相談

まず、初めに「事前相談」です。

建設業許可の承継を行う場合、書類を揃えて直接窓口へ申請に行くのではなく、事前に申請窓口の担当の方と調整を行います。「どういった形態(承継のパターンを伝えるイメージです)での承継を目指すのか」「承継日はいつを想定しているのか」等、基本的な情報をもとに窓口の担当の方とスケジュール等を詰めていきます。

申請書提出(窓口審査)

申請書を提出する段階です。

申請書類と併せて各種の証明書類等の必要書類を準備します。後日提出書類を除き、基本的には必要書類を全て揃えての申請となります。ここで、申請期限ぎりぎりで提出すると不備や補正があった場合に申請期限に間に合わず結果的に事業譲渡日を変更せざるを得ない場合もある為、できるだけ早めに申請するようにしましょう。

受付

事後提出書類を除き、必要書類が全て揃っており内容も問題ない場合には受付されます。

審査

審査担当行政庁内部での審査となります。書類の不備や補正がない場合には、1ヶ月程度で審査は完了します。

認可及び通知書送付

無事内部の審査が終わると、申請者宛てに「建設業法に基づく譲渡及び譲受けの認可について(通知)」が届きます。建設業許可番号や許可の有効期間、建設業許可日、建設業の種類等が記載されており、建設業許可証に類するものになります。

建設業許可の承継を行った場合には、許可の有効期間は通常の5年間に1日が足された日数となります。その場合には、「建設業許可日」は事業承継の次の日となります。

後日提出資料の提出

最後に、後日提出書類となります。

申請時点では提出することができないもの、例えば譲渡日に法人を新規設立する場合には、申請書の提出時点では、会社の登記簿謄本や社会保険関係の書類は準備できません。これら申請段階で提出不要な資料は「後日提出書類」となります。

あくまで、状況に応じた申請書の提出時点での揃わない書類であって、取得に郵送等で時間がかかっている場合や、準備することを失念していたという場合には、当然ながら後日提出書類とはなりません。

建設業許可の承継に必要な基本書類

建設業許可の承継を行う上で必要となる書類をまとめました。以下の書類等はあくまで基本的な書類の一例となりますので、場合によっては補足書類や代替書類等により変わる場合もあります。

必要書類一覧

様式 書類の内容
22号の5,7,8 譲渡/合併/分割認可申請書
┗別紙1 役員等の一覧表
┗別紙2 営業所一覧表
┗別紙3 専任技術者一覧表
2号 工事経歴書
3号 直前3年の各事業年度における工事施工金額
4号 使用人数一覧表
6号 誓約書
定款
15~17号の3 財務諸表
20号 営業の沿革
20号の2 所属建設業者団体
7号の3 健康保険等の加入状況
20号の3 主要取引金融機関名
第7号の2 常勤役員等証明書
┗別紙1 常勤役員等の略歴書
様式8 専任技術者証明書
第12号 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書
第14号 株主(出資者)調書
その他添付書類 登記事項証明書
事業税の納税証明書
承継方法等書類*
預金残高証明書等
登記されていないことの証明書
身分証明書
常勤役員等の経営経験の確認資料
専任技術者の技術要件の確認資料
社会保険の加入証明資料

*「承継方法等書類」については、承継の方法や状況により異なり、また、雛形等はない為、事前相談の際に内容を確認することが非常に重要となります。また、「承継方法等書類」の内容によっては、承継が認められない場合もあるので注意が必要です。

建設業許可の承継を行う際に注意が必要なポイント

建設業許可の承継制度を活用するにあたり、特に注意が必要なをまとめます。

それぞれの日付

「承継日」や「事前申請の期日」はもちろんですが、その他にも専任技術者や常勤役員等(経営業務の管理責任者)の社会保険の資格取得日にも注意が必要です。

社会保険の資格取得日を間違えてしまうと、予定していた譲渡日に建設業許可の要件を満たさず、承継ができなかったり、譲渡日前に本来譲渡する予定であった業者が建設業許可の要件を満たさず、そもそも承継ができないという場合も起こります。

承継方法等書類

先の必要書類の一覧でも触れましたが、承継方法等書類については雛形がなく、承継の内容を書面化して許可行政庁と事前相談を行うことになります。

書面の内容によっては承継が認められないケースもございますので、事前に良くご検討いただく必要があります。

まとめ

建設業許可の承継制度について説明しました。

あまり馴染みのない制度である上に、必要書類も多く、比較的複雑な手続きになると思われます。手続きのミスや遅れを防ぐためにも、建設業許可の承継制度を活用しようと考えられている方、または、承継制度が活用できるのか疑問を持たれている方は、建設業許可に強い行政書士に相談することをおすすめ致します。

 

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