電気工事業登録という言葉を聞いたことがあるでしょうか。建設業許可のことでしょ、と思われた方、違います。実は建設業許可の電気工事業と電気工事業登録は異なる制度になります。
今回は建設業許可の電気工事業と電気工事業登録の違いやそれぞれの必要な資格や注意点を解説していきたいと思います。
建設業許可における電気工事業と電気工事業登録の違い
まず最初に、建設業許可の電気工事業と電気工事業登録の違いについて簡単に説明したいと思います。
建設業許可における電気工事業は、500万円以上の電気工事を請け負う場合に取得しなければならない建設業法に定められた手続きです。
一方、電気工事業登録は、電気工事業を営もうとする場合に必要な手続きで、電気工事業法に定められています。登録の区分によって登録電気工事業者、みなし登録電気工事業者、通知電気工事業者、みなし通知電気工事業者の区分がありますが、本記事の後半で詳しく解説します。
ただし、建設業許可における電気工事業と電気工事業法の電気工事業登録まったく無関係というわけではなく、建設業許可をもっていると電気工事業登録はみなしとなるなど、連動する部分もあります。
以下、詳しく解説していきます。
建設業許可における電気工事業と電気工事業登録は簡単に上記のような違いがございます。
ファーストグループでは、貴社の場合はどちらを取得するのが良いのか等相談した上で申請サポートいたします。
是非、建設業に特化したファーストグループへお気軽にご相談ください。
建設業許可における電気工事とは
建設業許可の電気工事業が必要な場合
500万円以上の電気工事を請負う場合に必要となります。ここでの電気工事とは、発電設備や変電設備、送配電設備といった設備を設置する工事のことです。
また、自社において施工しない場合(現場を監理監督する場合等)でも建設業許可は必要になります。この注意点は後ほど説明します。電気工事業登録と異なる点ですので注意が必要です。
取得する場合の要件
建設業許可の電気工事業を取得する場合の要件は、大きく分けて「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」、「専任技術者」、「財産的基礎等」、「誠実性」、「欠格要件等」、「社会保険への加入」と6つあります。ですが、今回は「専任技術者」について詳しく説明をしていきたいと思います。
資格者について
要件の一つである専任技術者の資格について説明します。
「建設業許可の電気工事業」を取得できる資格はいくつかありますが、代表的なものは以下です。
- 一級電気工事施工管理技士
- 二級電気工事施工管理技士
- 技術士(建設)
- 技術士(電気電子)
- 第一種電気工事士
- 第二種電気工事士※
- 電気工事主任技術者 一種・二種・三種※
- 建築設備士※
- 一級計装士※
※のある資格については資格取得後に一定の実務経験が必要になる等の条件があります。
実務経験について
建設業許可の電気工事業についても、他の業種と同様に実務経験をもとに専任技術者となることが可能です。なお、建設業許可のない会社での実務経験や個人事業主としての実務経験の場合には、500万円未満の工事の必要があります。
加えて自社・自身で施工している場合には電気工事業登録が必要になります。
取得に要する費用・期間
建設業許可を取得するのに要する費用ですが、法定費用9万円が必要となります。また、各種証明書類の取得に数千円、行政書士に依頼する場合には報酬として15万円から20万円ほどが必要となり合計で約25万円から30万円ほどとなります。
建設業許を取得するのに要する期間ですが、目安として書類を提出してから一月半ほどで取得となります。審査途中で書類の不備や補正等ある場合には更に時間がかかってしまうため取得を検討される場合はお早めにご準備されることをお勧めします。
建設業許可の取得には予め準備が必要な書類や作成しないといけない書類が数多くあります。
自分で準備するのが難しい場合や書類の不備などが不安な方は、専門家である行政書士に依頼することをおすすめします。
当事務所は建設業許可に特化した事務所です。
建設業許可についてのお悩みなどお気軽にお問い合わせください。
電気工事業登録とは
電気工事業登録には登録電気工事業者、みなし登録電気工事業者、通知電気工事業者、みなし通知電気工事業者の4つの種類があります。それぞれどういった場面で必要なのか、また、要件や取得時の費用や期間等について説明します。
登録電気工事業者が必要な場合
登録電気工事業者登録は、一般用電気工事及び自家用電気工事を施工する場合に必要になります。
ここで一般用電気工事と自家用電気工事について簡単に説明致します。
一般用電気工事とは、600V以下の電圧で受電する電気工作物を施工する電気工事です。一方、自家用電気工事とは自家用電気工作物のうち、500kW未満の需要設備を施工する電気工事です。
なお、自家用電気工事は第一種電気工事士しか施工できない為、注意が必要です。
登録電気工事業者に必要な資格・費用・期間
登録電気工事業者登録には主任電気工事士を設置する必要があります。
主任電気工事士の要件
第一種電気工事士または第二種電気工事士(免状の交付を受けた後に、3年以上の電気工事に関する実務経験を有すること)となります。
必要となる費用
各都道府県庁に納める必要のある法定費用が22,000円、登記簿謄本等を取得する必要がある為数千円、行政書士に依頼する場合には報酬として50,000円ほどで概ね合計75,000円ほど必要となります。
申請に要する期間
東京都の場合には月に2度程度の締め日があります。そのタイミングで申請が不備なく受付がなされると締め日に対応した登録日に登録となり、登録日からおおよそ2週間後に登録証が発送されるという流れになります。
みなし登録電気工事業者が必要な場合
みなし登録電気工事業者はその名の通り、登録電気工事業者として「みなす」ということです。具体的には建設業許可を取得している業者が電気工事を自社で施工しようとした場合に必要になります。
対応する電気工事については登録電気工事業者と同様になります。ここでの注意点は電気工事業以外の建設業許可であっても、みなし登録電気工事業者となる点です。
みなし登録電気工事業者に必要な資格・費用
基本的には、登録電気工事業者と同様、主任電気工事士を設置する必要があり、主任電気工事士の資格も同様に考えていただければと思います。
費用に関してはみなし登録電気工事業者の場合には法定費用は不要です。行政書士に依頼する場合には報酬として40,000円ほど必要となります。
通知電気工事業者が必要な場合
通知電気工事業者が必要な電気工事は、自家用電気工事のみを施工する場合です。
先ほど説明しましたが自家用電気工事とは500kW未満の需要設備を施工する比較的大きな電気工事です。このため、自家用電気工事のみ施工するというケースは稀なため、通知電気工事業者も登録電気工事業者と比べ少ない傾向にあります。
通知電気工事業者に必要な資格・費用
必要な資格についてですが、通知電気工事業者は自家用電気工事のみ施工するので、自家用電気工事を施工する場合に必要な第一種電気工事士の方が在籍している必要があります。
費用について、通知電気工事業者の場合も法定費用は不要です。行政書士に依頼する場合には報酬の40,000円ほどを考えていただければよいかと思います。
みなし通知電気工事業者が必要な場合
基本的には、通知電気工事業者と同様で自家用電気工事のみを施工し、かつ、建設業許可を取得している場合になります。
みなし通知工事業者に必要な資格・費用
必要な資格については、通知電気工事業者と考え方は同じで、自家用電気工事を施工するため、第一種電気工事士の方が在籍している必要があります。
費用について、みなし通知工事業者も法定費用は不要で行政書士に依頼する場合の報酬40,000円ほどを考えていただければよいかと思います。
ケース別に見る必要な許可
電気工事業登録のみ必要な場合
電気工事を施工し、かつ、その施工する工事が材料費込み税抜きで500万円未満の場合には電気工事業登録のみで問題ありません。
電気工事業登録及び建設業許可両方が必要な場合
電気工事を施工し、かつ、その施工する工事が材料費込み税抜きで500万円以上の場合には電気工事業登録と建設業許可の両方が必要となります。
建設業許可は必要書類も多く、審査期間も比較的長いため今後、上記のような工事を請負われる予定のある場合には事前にご準備を進めることをお勧めいたします。
建設業許可申請のプロである行政書士に依頼すれば、書類の準備や役所に出向く等の仕事の時間を削ってやらなければならないことをすべて行政書士にお任せすることができます。
当事務所は建設業許可に特化した事務所ですので、電気工事登録や建設業許可取得に関するお悩みは是非一度ご相談ください。
まとめ
建設業許可と電気工事業登録の違いや必要な資格等について説明しました。
どういった場合にどちらが必要になるか悩む場合もあるかと思います。また、いざ取得しようと思っても何から始めたらよいか分からないこともありますよね。そのような時にはぜひ一度行政書士に相談をしてみてください。