会社の代表者が変わる際、様々な手続きが必要になります。建設業許可の代表者変更に関する手続きも、その中の一つです。「そうはいっても、具体的に何をすればいいのかわからない……」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、建設業許可における代表者変更の手続きについてまとめていきます。提出する変更届や、必要書類について一緒に確認していきましょう。
変更届を提出する必要がある
大まかは方針としては、代表者変更に関する変更届を提出することになります。以下細かく内容を見てみましょう。
変更が生じたら許可行政庁に変更届を提出
代表者の変更が生じたら、許可を受けた行政庁に変更届を提出する必要があります。
知事許可なら管轄の土木事務所等に、大臣許可であれば管轄の整備局等が提出先です。ご自身の変更届の提出先がどこになるのかは、あらかじめ確認しておきましょう。
まずは登記の変更をしなければならない
建設業許可の変更届に先立って、まずは登記上での代表者を変更する手続きが必要になります。
建設業で変更届を提出する際、変更事項が反映された登記事項証明書が添付書類として求められます。つまり、登記手続きが完了し、証明書で変更が確認できるようになってからでないと、変更届を提出することはできないということです。
通常、登記の手続きには1週間から2週間程度の期間を要します。これはあくまでも目安で、時期によってはさらに時間がかかる場合もあります。
変更届には提出期限もあるので、余裕をもって登記手続きを行いましょう。
提出期限は変更後30日以内
代表者変更の届出は、代表者の変更が生じてから30日以内に提出する必要があります。登記の変更手続きに1週間から2週間程度を要するため、意外と時間的な余裕はありません。
変更届が未提出の場合は罰則規定もあるため、提出期限には要注意です。登記手続きも含めて30日以内に収められるようなスケジュール管理が必要になります。
代表者変更の必要書類は?
代表者の変更届を提出するため、必要な書類を確認しておく必要があります。
どのように代表者が変更されたかによっても必要書類は異なります。準備する書類の量に関係するので、自社の変更がどれに該当するのかは確認しておきましょう。
別の取締役が代表取締役に就任した場合
例えば、「代表取締役がA取締役からB取締役に変更した」ような状況がこれにあたります。
すでにいる役員の中で代表取締役が変更しただけの場合、必要な書類は以下のとおりです。
新たな役員の就任などが絡まないため、必要な書類は少なくなります。
新しく取締役が就任し、代表取締役にも就任した場合
「A取締役にかわり、社外からやってきた新任のB取締役が代表取締役に就任した」という状況であれば、こちらにあたります。社外から新たに取締役が就任し、代表取締役にも就任した場合、必要な書類は以下のとおりです。
- 変更届出書
- 役員等の一覧表
- 誓約書
- 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書
- 登記事項証明書
- 登記されていないことの証明書
- 身分証明書
- 株主調書
役員の新任と代表者の変更を同時に行うかたちになるため、必要な書類は多くなります。
特に注意が必要なのは、こちらの場合、就任する役員の方の登記されていないことの証明書や身分証明書を準備しなければならない点です。
登記されていないことの証明書は法務局で、身分証明書は本籍地の市役所、区役所、町村役場にて取得する必要があります。取得する証明書が増えるという点でも、より一層スケジュールの管理には気をつけましょう。
退任した代表者が、他の職務を兼任していた場合
「会社を退職した代表取締役が専任技術者や常勤役員を兼任していた」というような場合もあるかと思います。このような場合、それぞれ専任技術者や常勤役員の変更に必要な書類も揃えなければなりません。
専任技術者・常勤役員の変更では必要になる書類が増えるだけでなく、細かい要件にも気をつける必要があります。代表者の方が他の職務を兼任している場合は、事前にしっかりと準備しておきましょう。
変更届を出さないとどうなる?
変更届を提出しないとどうなってしまうのでしょうか。
変更届を放置していると罰則あり
代表者の変更届を提出せず放置していると、建設業法第50条に基づいて「六月以下の懲役又は百万円以下の罰金」を科されることになります。
「建設業許可でも代表者変更が必要なのは知らなかった」「登記手続きや他の手続きが忙しくて忘れてしまった」ということが無いよう、代表者変更が生じるときは、早めにスケジュールを組んで準備をする必要があります。
忙しくてそれどこではないという方については、あらかじめ専門の行政書士に相談しておくことも有効な方法です。
当事務所は建設業許可に特化した事務所です。 建設業許可の代表者変更についてのお悩みはお気軽にお問い合わせください。
社会的信用を傷つけるリスクもある
変更届を提出しないことで、社会的な信用を傷つけるリスクもあります。
許可申請書や変更届など、許可行政庁に提出している書面は、原則誰でも閲覧することができます。もちろん、代表者の変更届も例外ではありません。
提出すべき書類を提出していないということが誰の目にも明らかになってしまうので、コンプライアンス意識が低い会社だと思われてしまう可能性もあります。
代表者の変更届は自分で作成できる?
結論からいえば、変更届はご自身で作成していただくこともできます。以下ポイントを解説します。
自社にノウハウがあれば作成は可能
普段から建設業許可の変更届を自社で出している等、申請に関するノウハウがあれば作成は可能な場合もあります。特に、代表者変更のみの場合であれば、新規での許可や許可更新の申請に比べて必要書類も少ないです。
一方で、以下のようなケースでは、専門の行政書士に依頼することをおすすめします。
- 変更届の準備に必要な時間がなく、提出期限に間に合わせることが難しい
- 専任技術者や常勤役員の変更を伴う
先にご説明したように、変更届には提出期限があります。代表者変更の場合は変更から30日以内と一見して余裕がありそうですが、登記手続きも含めると、早めの準備が必要です。
また、専任技術者や常勤役員の変更など、代表者変更以外の手続きを伴う場合も、準備する書類が増え、かかる労力や負担が増大します。
いずれも自社での対応が難しいと思った場合は、行政書士への相談を検討してみてはいかがでしょうか。
専門の行政書士に頼むメリットも大きい
建設業専門の行政書士に頼むメリットは、必要書類の準備だけに留まりません。例えば、司法書士と連携することで、登記手続きから建設業の変更届までをスムーズに進められる場合もあります。
登記を含めたスケジュールの管理を任せられる、コンプライアンスに関する相談ができるなど、その他にもメリットは数多くあります。
自社で変更届を出せるかどうか不安であれば、まずは相談してみることをおすすめします。
建設業許可の代表者変更手続きまとめ
代表者変更があった際、建設業許可で必要な手続きについて解説してきました。まとめると、以下のようになります。
- 提出期限は30日以内。最初に登記手続きが必要なので要注意
- 必要な書類は状況による。専任技術者や常勤役員に変更がないかも注目
- 専門の行政書士に頼むと多くのメリットがある。迷ったら相談がおすすめ
提出期限やその他の変更手続きはないかなど、代表者の変更届を提出するにあたっては、意外に気をつけるべきポイントが多くあります。
まずは自社でどのような手続きが必要かを整理したうえで、早めの準備が大切です。迷った場合は、建設業を専門としている行政書士に相談してみましょう。