建設業許可と資本金の関係は?いくらに設定すべきか解説

「会社を設立して建設業許可を受けたいけど、資本金をいくらにしたら良いかわからない」
「建設業許可を取得するのに、うちの資本金の額で足りるのだろうか」

こうした疑問をお持ちではないでしょうか。

建設業許可を受ける場合、一定以上の資産が求められます。当然、資本金にも関係がでてきます。そこで今回は、建設業許可では、資本金がいくら必要になるのかを解説します。許可要件と資本金の関係について、実際に申請に必要になる書類等も一緒に見ていきましょう。

建設業許可と会社の資本金は関係ある?

建設業許可と資本金の関係

建設業許可の要件を満たすために、一定以上の資本金が求められる場合があります。建設業許可の資格要件は、以下の5つです。

  1. 適正な経営体制
  2. 専任技術者
  3. 誠実性
  4. 財産的基礎等
  5. 欠格要件等に該当していないこと

このうち、④の財産的基礎等の要件を満たすため、資本金が必要になることがあります。

建設業許可に資本金はいくら必要?

いくら資本金が必要なのかは、取得する許可が一般建設業許可か、それとも特定建設業許可なのかによって異なります。

資本金は財産的基礎等の要件と関係しています。そして、求められる基準が、一般建設業許可と特定建設業許可とでは異なってくるのです。

そのため、それぞれの許可について、「何をもって財産的基礎があると判断するのか」を知っておく必要があります。

許可の種類によって必要な資本金も異なる

一般建設業許可では、資本金の額について要件はない

一般建設業許可では、「資本金がいくら以上必要」といった要件はありません。詳しくは後ほど解説しますが、500万円以上の自己資本や資金調達能力を証明することになります。

つまり、資本金の多寡を問わず、許可を取得することができるということです。

特定建設業許可では、一定以上の資本金が必要

一方で、特定建設業許可では、最低でも2,000万円以上の資本金が必要になります。また、会社の設立後すぐに特定建設業許可を取得したい場合には、資本金が4,000万円以上必要です。ほかにも要件がいくつかあり、それらを全て満たさなければ、許可を受けることはできません。この点は、後ほど詳しく見ていきましょう。

一般建設業許可と違い、資本金の最低ラインが決められているのが特徴です。

資本金と財産要件の関係

一般建設業許可の財産要件

一般建設業許可の財産要件は、以下のうちいずれかを満たす必要があります。

  1. 自己資本が500万円以上あること
  2. 500万円以上の資金調達能力があること
  3. 直前5年間許可を受けて継続して営業した実績のあること

どれか1つを証明できれば、財産要件はクリアできます。

ただし、「③直前5年間許可を受けて継続して営業した実績のあること」については、新規で許可を受けたり、初めて許可の更新をする際には使えません。新規で許可を取得する際は、一般的に①か②によって証明することになります。

ここからは、この要件1つ1つについて確認していきましょう。

自己資本が500万円以上あること

ここで言う自己資本とは、許可を受ける方が法人か個人によって額の計算方法が変わります。

法人の場合 純資産合計額
個人事業の場合 期首資本金、事業主借勘定、事業主の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金、準備金の額を加えた額

純資産合計額には資本金も含まれます。つまり、自己資本の多寡には資本金も関係しているということです。この自己資本が500万円以上であれば、一般建設業許可に必要な財産的基礎があると判断されます。

申請先には、貸借対照表を提出して証明することになります。自己資本が500万円以上あれば、改めて何らかの証明書を準備する必要はありません。

500万円以上の資金調達能力があること

資金調達能力とは、金融機関から融資が受けられる能力のことです。これを証明するため、具体的には以下のうちいずれかの書類を提出することになります。なお、どちらも金融機関にお願いして発行してもらう証明書です。

  • 500万円以上の預金残高証明書
  • 融資可能証明書等

預金残高証明書を提出する場合には、あくまで口座に500万円以上入っていればいいというのがポイントです。言ってしまえば、証明書を発行してもらう時だけ、お金が入っていればいいことになります。

つまり、現時点で要件に満たない場合でも、金融機関や親族、知人からお金を借りて500万円以上を準備できればOKです。一時的に社長のポケットマネーから会社の口座に移すといった方法でも問題ありません。

ただし、証明書は発行から一ヶ月以内のものと、期限が決められていることが一般的です。申請する日から逆算して、あまり早く取得しすぎないようにしましょう。

直前5年間許可を受けて継続して営業した実績のあること

許可を受けて5年間営業を継続していれば、自己資本や資金調達能力が500万円以上であることを証明する必要はありません。

もちろん新規で許可を取得する場合は、この実績が無い状態なので使えません。

また、5年ごとの更新についても、初めての更新の際は継続して営業した期間が5年間に満たないことになり、こちらも使えない方法です。

特定建設業許可の財産要件

特定建設業許可の場合、以下4つの財産要件を全て満たす必要があります。

  1. 欠損の額が20%を超えない
  2. 流動比率が75%
  3. 資本金が2,000万円以上
  4. 自己資本が4,000万円以上

これら全ての要件を満たすことを、直近の貸借対照表によって証明しなければなりません。

なお、新規設立の場合は④の要件について、資本金が4000万円以上あることで証明することができます。つまり、資本金は最低でも2,000万円以上必要で、設立後すぐ特定建設業の許可を受けるのであれば、4,000万円以上の資本金が必要になります。

①から④の全ての要件を満たすには、しっかりと利益を上げていることが求められてきます。資本金の額だけでなく、その他の要件を満たすことができているのかについても、しっかり確認しておきましょう。

許可後も資本金は維持しなければならない?

一般建設業許可の場合

許可後からずっと資本金を維持する必要はありません。そもそも資本金の額が直接の要件ではないため、許可を受けてから資本金が減ってしまっても大丈夫です。

新規許可と初めて更新する際は、自己資本や資金調達能力を証明しなければなりません。しかし、2回目の更新以降は「直前5年間許可を受けて継続して営業した実績のあること」によって証明することが可能です。

要するに、初めての更新を終えてしまえば、財産的基礎については特に申請先に書類を提出しなくてOKということになります。

特定建設業許可の場合

特定建設業許可であれば、許可を受けた後も資本金を維持している必要があります。これは、5年ごとの更新時にも、先ほど説明した要件を全て満たしていると証明する必要があるからです。

許可を受けた後に基準を満たさなくなってしまったからといって、直ちに影響があるわけではありません。ただし、少なくとも更新の際には全てにおいて要件を満たしている必要があります。つまり、2,000万円以上の資本金は維持し続ける必要があるということです。

建設業の許可に必要な資本金まとめ

建設業許可に必要な資本金の額について、許可の財産要件とともに解説してきました。いくら資本金が必要なのか?ということをまとめると、以下のようになります。

  • 一般建設業許可の場合は、資本金についての要件はない。
  • 500万円以上の自己資本または資金調達能力の証明ができれば、資本金はいくらでも大丈夫。
  • 特定建設業許可の場合、資本金は2,000万円以上必要(法人新設後すぐに許可を受けるなら4,000万円以上)
    しかも、資本金は2000万円以上に維持し続ける必要あり。

一般建設業許可では、資金調達能力の証明に使う預金残高証明書のように、発行後1ヶ月以内といったルールがあることに注意が必要です。また、特定建設業許可を取得する際は、そもそも要件を満たしているかの判断が難しいと思われます。

メリットは申請を代行してくれるだけに留まらないため、迷った際は一度、行政書士に相談してみることをおすすめします。

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