解体工事業とは?内容や建設業許可の要件を解説!

「解体工事業とはどのような工事か?」
「とび・土工・コンクリート工事の建設業許可があれば解体工事も行うことができる?」
「解体工事業の建設業許可を取得する要件は何か?」
以上のような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

解体工事業は、対応する登録や建設業許可がなければ行うことができません。
また、かつては「とび・土工・コンクリート工事」の建設業許可を取得していれば解体工事を行うことができた時期もあるため、混乱されている方も少なくありません。

そのため、解体工事を行うには、どのような工事が解体工事業に該当するかを理解したうえで、適切な準備を行う必要があります。

そこで今回は、解体工事業について解説していきます。
解体工事業の具体例や、建設業許可の取得要件について詳しく確認していきましょう。

解体工事業とは

解体工事業とは、名前のとおり工作物の解体を行う工事です。住宅等の建築物や、土地に定着したほかの工作物の解体を行うことが、解体工事業になります。

解体工事業の具体例

解体工事業は工作物の解体を行う工事ですが、場合によっては該当しないものもあります。ここでは、解体工事業に該当するもの、該当しないものについて、詳しく確認していきましょう。

解体工事業に該当するもの

戸建住宅やマンション、ビル等の建築物の解体は、解体工事業に該当します。例えば、戸建ての住宅を解体して更地にする場合は、解体工事といえます。

解体工事業に該当しないもの

撤去や解体をする場合でも、他の専門工事に該当する場合があります。

例えば、街灯や信号機の撤去工事は、電気工事で建設されるもののため、電気工事業に該当します。また、リフォーム等で室内の解体を行う内装解体工事は、内装仕上工事業です。

以上のように、撤去や解体を行う場合でも、それぞれの専門工事に当たる場合があるので、注意しましょう。

また、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体するような、複雑な解体工事はそれぞれ土木一式工事や建築一式工事に該当します。

例えば、以下のような工事が挙げられます。

  • ダム、トンネルの解体工事(土木一式工事)
  •  高層ビルの解体工事(建築一式工事)
  •  解体工事と建替え工事を一体として請け負う工事(建築一式工事)

以上の工事ではいずれも工作物の解体を行っていますが、複雑な解体工事のため土木一式工事や建築一式工事に該当します。

自社に合った許可や登録を取得するためには、自社の行う工事が何に該当するかを知っておく必要があります。

まずは自社の行う工事が解体工事業に該当するか否かを、よく確認しておきましょう。

解体工事業登録と建設業許可の違い

工事請負金額によって、必要な登録・許可が異なります。

まず、工事の請負金額が税込500万円未満の解体工事(軽微な工事)は、解体工事業登録があれば行うことができます。

一方で、請負金額が税込500万円以上の解体工事の場合は、解体工事業の建設業許可が必要です。建設業許可を取得していれば、軽微な工事も行うことができるため、請負金額に関係なく解体工事が可能です。

ここで注意が必要なのは、解体工事はたとえ軽微な工事であっても、解体工事業登録や建設業許可が必要な点です。

例えば内装仕上工事や塗装工事などは、軽微な工事であれば建設業許可や何らかの登録がなくとも、適法に行うことができます。しかし、解体工事を行う場合には登録・許可といった準備が必要です。

解体工事業登録と建設業許可は、申請先や取得の要件も異なります。

解体工事業登録の方が建設業許可に比べて要件は満たしやすいです。一方で、建設業許可を取得していれば、先にご説明したように、請負金額を気にせず解体工事を行うことができるため、メリットも大きいです。

取得要件と取得によるメリットを理解したうえで、自社に合うものを取得するようにしましょう。

解体工事業の建設業許可の取得要件

解体工事業の建設業許可を取得するためには、以下いずれかの要件を満たす専任技術者の常勤が必要です。

  • 一定の資格を有する技術者
  • 一定の資格+一定以上の実務経験を有する技術者
  • 一定以上の実務経験を有する技術者

ここからは、専任技術者に必要な資格や実務経験について、詳しく確認していきましょう。

一定の資格を有する技術者

以下の資格を有する技術者は、専任技術者になることができます。

  • 一級土木施工管理技士
  • 二級土木施工管理技士
    ※種別によって5年の実務経験が必要
    ※平成27年以前に合格の場合は、「実務経験1年以上」または「登録解体工事講習の受講」を満たす必要あり
  • 一級建築施工管理技士
  • 二級建築施工管理技士
    ※種別によって5年の実務経験が必要
    ※平成27年以前に合格の場合は、「実務経験1年以上」または「登録解体工事講習の受講」を満たす必要あり
  • 技術士 建設・総合技術監理(建設)
  • 技術士 建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)技能士 とび・とび工
  • 技能士 解体工事
  • 登録解体基幹技能者

資格のみによって専任技術者になる場合は、他の方法に比べて許可行政庁に提出する書類が少なくなります。

上記の資格を有する方を専任技術者にする、資格者がいなければ資格を持つ技術者を雇用する、社内の技術者の方が資格を取得するといった方法が考えられます。

一定の資格+一定の実務経験を有する技術者

以下の資格を有する技術者は、対応する実務経験年数があることで専任技術者になれます。

  • 一級土木施工管理技士補:実務経験3年
  • 二級土木施工管理技士補:実務経験5年
  • 一級建築施工管理技士補:実務経験3年
  • 二級建築施工管理技士補:実務経験5年
  • 一級造園施工管理技士:実務経験3年
  • 一級造園施工管理技士補:実務経験3年
  • 二級造園施工管理技士:実務経験5年
  • 二級造園施工管理技士補:実務経験5年

実務経験は、書類で証明しなければならない点に注意が必要です。

必要な書類や年数の数え方は申請先によっても大きく異なりますが、実際に実務経験があっても、どれを裏付け資料によって証明しなければなりません。まずは許可行政庁が公開している手引きをよく確認するようにしましょう。

また、実務経験の証明にあたっては、技術者の方が働いている会社や、前職の会社等が証明をすることになります。場合によっては、個人事業主として自身で実務経験を証明するケースもあります。

証明期間が長くなるほど必要な書類も増え、手続きは難しくなります。

10年以上の実務経験を有する技術者

解体工事について10年以上の実務経験がある技術者は、専任技術者になることが可能です。

先にご説明したとおり、証明する期間が長いほど、揃える書類は増え、手続きは難しくなります。
実際には10年以上の解体工事に関する経験があったとしても、遡って書類を集めなければならない点でも、手間がかかると言えるでしょう。

工業高校や大学の特定の学科を卒業していることで、証明する実務経験が短縮できる可能性もあります。
許可行政庁の手引きをよく確認するほか、場合によっては専門家に相談しながら手続きを進めていく必要があるでしょう。

まとめ

解体工事業の具体例や許可取得の要件について解説してきました。
まとめると、以下のようになります。

  • 解体工事業とは、工作物の解体を行う工事。
  • 戸建てやマンションの解体は解体工事に該当するが、場合によって他の専門工事や土木一式工事、建築一式工事にあたる場合もある。
  • 解体工事業登録では税込500万円未満の解体工事のみ請負可能。解体工事業の建設業許可であれば請負金額に関係なく請負が可能。
  • 建設業許可の取得には、一定の資格や実務経験を有する専任技術者が必要。

解体工事業を行う際には、解体工事業登録や建設業許可の取得が必要不可欠です。

登録や許可が完了するまでには期間を要するため、解体工事を行う可能性がある場合には、早めに準備を進めるようにしましょう。

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