「電気通信工事業とは?具体的な内容を知りたい」
「電気通信工事業の建設業許可を取得する要件は?」
以上のような疑問をお持ちの方も少なくないかと思われます。
電気通信工事業は電気に関係する工事業ということで、電気工事業との違いに迷われる方もいます。
そこで今回は、電気通信工事業とは何かについて解説していきます。
工事の具体例や他の業種との関係、建設業許可取得の要件についても詳しく見ていきましょう。
電気通信工事業とは
電気通信工事業は、国土交通省の「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方」にて以下のように説明されています。
有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事
その名のとおり、電気通信に関係する設備の設置に関する工事のことです。
例としては防犯カメラ、インターネット回線等の設備の設置や、それに伴う工事が挙げられます。
電気通信工事業の具体例
電気通信工事に該当するものとして、以下の工事が挙げられます。
以上のように、通信設備に関する工事が、電気通信工事に該当します。
ここで注意が必要なのは、すでに設置されている電気通信設備の改修、修繕、補修が電気通信工事になるという点です。
電気通信設備に関わるものであっても、点検、整備、修理は保守に関する役務の提供とされ、電気通信工事には該当しません。
電気通信工事業と他の業種との関係
電気通信工事に該当するかについては、以下の業種との関係にも気をつける必要があります。
ここからは、それぞれの業種と電気通信工事業との違いについて、確認していきましょう。
電気工事業との違い
電気工事業との違いとして、電気通信工事業は、情報の取り扱いを主とする設備の工事である点が挙げられます。
電気工事業とは、照明機器やコンセントに関する工事、住宅やビルに電気を通す工事などを行います。
一方で、インターホンやインターネット関係の機器を設置する工事は、情報に関係する設備の工事のため、電気通信工事業に該当します。
どちらも電気を扱う工事のため、混同されやすい部分でもあるため、注意しましょう。
機械器具設置工事業との違い
設置を行う機械器具が電気通信に関するものであれば、電気通信工事業に該当します。
機械器具設置工事とは、国土交通省の「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方」において、以下のように説明されています。
機械器具の組立て等により工作物を建設、又は工作物に機械器具を取付ける工事
ただし、機械器具設置工事として認められるのは、他の専門工事のいずれにも該当しない機械器具や、複合的な機械器具の設置のみです。
例えば、サーバやコンピュータ等の電気通信に関する機械器具の設置は、専門工事である電気通信工事に該当します。
電気通信工事業の具体例も参考にしながら、機械器具設置工事業との関係にも気をつけましょう。
電気通信工事業の建設業許可取得の要件
電気通信工事業の建設業許可を取得するためには、以下いずれかの要件を満たす、専任技術者の常勤が必要です。
- 一定の資格を有する技術者
- 一定の資格を有し、かつ一定以上の実務経験を有する技術者
- 一定以上の実務経験を有する技術者
建設業許可の専任技術者としては、以上のうちのいずれかを満たしている必要があります。
しかし、実際に電気通信工事業の建設業許可を取得する場合は、実務経験によって専任技術者になるケースが多いです。
ここからは、以上の要件について、詳しく解説していきます。
一定の資格を有する者
以下のうちいずれかの資格を有する技術者を、専任技術者とすることができます。
- 1級電気通信工事施工管理技士
- 2級電気通信工事施工管理技士
- 技術士「電気電子・総合技術監理(電気電子)」
- 登録電気工事基幹技能者
技術士試験は技術系資格の中でも特に難しく、最難関とされるほどに難易度が高い資格です。また、登録基幹技能者とは、「実務経験10年以上、職長経験3年以上、第一種電気工事士の資格保有」の要件を満たしたうえで、講習を受講する必要があります。
以上より、資格のみで専任技術者になるには、1級・2級電気通信工事施工管理技士の資格が最も一般的と言えるでしょう。この電気通信工事施工管理技士は、他の建設系国家資格と比べて、資格制度がつくられてから日が浅いため、資格保有者が少ないのが現状です。
一定の資格+実務経験を有する者
保有する資格によっては、一定以上の実務経験を有することで専任技術者になれるものがあります。該当する資格と必要な実務経験は、以下のとおりです。
- 電気通信主任技術者(実務経験5年)
- 工事担任者(実務経験3年)
建設業許可取得のためには、電気通信工事の実務経験を証明する必要があります。専任技術者になろうとする方が働いている会社や前職の会社、個人事業主の経験がある場合は自身で証明するなど、ケースも様々です。
また、証明者(会社や個人事業主)が電気通信工事の建設業許可を取得していたか否かによっても、提出する実務経験の裏付け資料は異なります。
必要な資料の例は以下のとおりです。
以上のうちどの書類が必要か、どのように実務経験を計算するかについては、提出先によって異なります。許可行政庁が公開している手引をよく読み込み、場合によっては担当課に電話などで詳細を確認する必要があります。
実務経験を有する者
資格を有していなくとも、技術者の方に10年間の実務経験があることで、専任技術者になることができます。
また、この10年間という期間は、技術者の方が大学や高等学校等の指定学科を卒業していることで、3年や5年に短縮できるケースもあります。
実際に電気通信工事業の許可を取得する場合は、実務経験のみや、指定学科卒業+実務経験で専任技術者になるケースが多いです。
一方で、気をつけなければならないのは、10年間実務経験があることを、客観的な資料で証明しなければならない点です。先ほど解説したような資料を揃えて、行政庁に提出しなければなりません。
資格のみ、資格+実務経験で専任技術者になる場合に比べて、提出が必要な書類が多く、準備にも時間がかかります。電気通信工事業の建設業許可の取得を考えている場合は、早めに準備する必要があると言えるでしょう。
まとめ
電気通信工事業の具体例や、建設業許可を取得する際の要件について解説してきました。
まとめると、以下のようになります。
- 電気通信工事業とは、防犯カメラやインターネット回線設備等、通信設備の設置やそれに伴う工事のこと
- 電気工事業や機械器具設置工事業との違いにも注意する必要がある
- 電気通信工事業の建設業許可取得のためには、専任技術者が必要。実務経験を証明して専任技術者になるケースが多いが、資料収集に時間がかかるため、早めの準備が必須
特に建設業許可の取得には、資料の準備に時間がかかる点に注意が必要です。許可取得の必要がある場合には、早めに準備を進めるようにしましょう。