総合評価落札方式とは?メリット・デメリットを解説!

「総合評価落札方式とは?」「総合評価落札方式はどんな流れで落札者が決まる?」

以上のような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。総合評価落札方式は、比較的新しい一般競争入札の落札方式です。

そこで今回は、総合評価落札方式について詳しく解説していきます。メリットやデメリット、どのような流れで行われるかについても確認していきましょう。

総合評価落札方式とは

総合評価落札方式とは、入札価格に加え、工事の質などの技術提案が評価対象になる入札方式です。一般競争入札の落札方式の種類の一つで、他に、最低価格落札方式があります。

最低価格落札方式:入札価格のみについて競争を行う落札方式

従来は、価格のみで競争する最低価格落札方式が一般的でした。しかし、価格競争のみでは公共工事の品質低下や環境への負荷などの問題があります。そこで、工事の質などが評価対象となる、総合評価落札方式が導入されるようになりました。

工事に関する技術が評価されることから、高い技術力を有する事業者が有利な落札方式であると言えるでしょう。

総合評価落札方式のメリット・デメリット

総合評価落札方式は、従来の最低価格落札方式の欠点を克服したメリットが多数あります。一方で、特有のデメリットもあります。

ここからは、メリット・デメリットの両方について、詳しく見ていきましょう。

総合評価落札方式のメリット

総合評価落札方式のメリットとしては、以下の5つが挙げられます。

  •  公共工事の品質向上させつつ、コストを抑えられる
  •  ダンピングや談合の防止
  •  小規模の事業者でも落札できるチャンスがある
  •  新技術開発や人材育成へのモチベーションアップ
  •  地域や環境への悪影響の低減

以上について、一つずつ順番に解説していきます。

公共工事の品質向上させつつ、コストを抑えられる

総合評価落札方式は、入札価格と技術提案の両方が評価対象になります。

そのため、安かろう悪かろうという工事を排除できるため、単純な価格競争に比べて品質が担保されます。もちろん、入札価格も評価の対象になるため、コストも抑えることが可能です。

ダンピングや談合の防止

技術力が評価対象のため、必要な技術的能力を有する事業者のみが競争に参加することになります。そのため、ダンピングや談合といった不正防止にも繋がります。

小規模の事業者でも落札できるチャンスがある

技術力があれば、中小企業でも高い評価を得て、落札できるチャンスがあります。価格競争ではどうしても体力のある大企業が有利です。しかし、中小企業でも高い技術力・特化した技術力があれば、落札のチャンスがあると言えるでしょう。

新技術開発や人材育成へのモチベーションアップ

価格・技術の両方が評価対象になりますが、特に新しい技術や工法は高く評価されます。

企業にとって新技術の開発や、人材育成に対し積極的になることが落札にも繋がるため、業界としてのメリットも大きいと言えるでしょう。

地域や環境への悪影響の低減

工期の短さや環境への負荷が低いことも評価の対象になります。そのため、従来懸念されていた環境への悪影響は、最低価格落札方式に比べて低減できると言えます。

総合評価落札方式のデメリット

最低価格落札方式のデメリットを克服している総合評価落札方式ですが、以下のようなデメリットもあります。

  • 提出書類が多いなど手間がかかる
  • 人材確保が難しく手間がかかる
  • 公平な判断が難しい

こちらも順に一つずつ説明していきます。

提出書類が多いなど手間がかかる

提案を価格・技術から審査するため、当然提出する書類は多いです。評価のポイントが増えることで、それだけ提出書類も増えます。多量の提出書類を審査するだけの時間がかかるため、その分審査にも時間がかかると言えるでしょう。

何より、事業者も決められた期間に数多くの書類を提出しなければなりません。事業者・発注者両方に手間がかかってしまいます。

人材確保が難しく手間がかかる

発注先は審査の過程で、一般的に学識経験者をいれた第三者委員会を設置します。これによって決定プロセスの客観性・透明性が確保されるのです。

一方で、学識経験のある人材を確保しなければならない点が、難しく手間がかかると言えます。そもそも小規模な自治体が発注者の場合は、学識経験者を確保すること自体が困難です。

公平な判断が難しい

総合評価落札方式では、あらかじめ評価項目ごとの評価点数を設定しておく必要があります。

しかし、工事の質など一概に数で表しきれないものを点数化するのは非常に困難です。何をどのように評価するのかを一つずつ正確に決めていかなければならないため、事前の手間が多いというデメリットもあります。

総合評価落札方式の流れ

総合評価落札方式の契約までは、大まかに以下のような流れになります。

  1. 入札公告
  2. 入札説明書の交付・資料の作成説明会
  3. 申請書・資料・技術提案の提出・審査
  4. 入札の実施・総合評価による判定
  5. 契約

細かな流れは、発注者によって異なります。ここからは、あくまでも標準的な流れについて解説していきます。

入札公告

入札公告とは、入札に参加するための条件等の情報です。この公告を行う前に、発注者側で評価方式・評価基準等を事前に決定しておきます。以上が内部で固まった後、落札者の決定方法や条件といった情報を、入札公告というかたちで公開するのです。

入札説明書の交付・資料の作成説明会

手続きにあたり、提出する書類や資料に関する説明が行われます。

入札に参加しようとする事業者に対して、一般的な説明が記載されている入札説明書が交付されるほか、説明会などがあります。入札説明書に対し、一定期間質問も受け付けられるため、内容をよく確認し、不明点は事前に解消しておくようにします。

申請書・資料・技術提案の提出・審査

施工計画や技術提案を提出し、発注者側で事前に審査が行われます。ここでは、提案の内容が実現可能であるかどうかが審査されます。

入札の実施・総合評価による判定

競争参加資格があるか確認が行われ、入札が実施されます。入札までに現場説明会や質問書の提出などが行われます。

ここでも、不明点などがあれば事前に解消しておくようにしましょう。総合評価による判定が行われ、落札者が決定します。

契約

落札者が決定した後は、契約書を作成し、契約を行います。契約書には技術提案の内容などが詳細に記載されます。

まとめ

総合評価落札方式について、メリットやデメリット、契約までの流れについて解説してきました。まとめると、以下のようになります。

  • 総合評価落札方式は、価格と技術提案が評価対象になる一般競争入札の落札方式のこと。
  • 総合評価落札方式は、工事の品質向上とコスト低減の両立、環境負荷の低減や中小企業にも落札のチャンスがあるなどメリットは様々ある。一方で、事業者・発注者双方にとって手間がかかるデメリットもある。

手間がかかるというメリットはあるものの、総合評価落札方式は事業者にとっても大きなメリットがあります。

入札参加を検討されている事業者の方は、以上のメリット・デメリットを意識したうえで、挑戦することをおすすめいたします。

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