「建設業界で働く女性は少ない」「建設業で働くのは女性には大変そう」
以上のように考える方は、少なくないのではないでしょうか。しかし、最近では女性が働きやすいような体制を整える会社も増えてきています。
そこで今回は、建設業界で働く女性が少ない理由について、解説していきます。また、働きやすい体制のため、どんな取り組みがされているかも詳しく見ていきましょう。
建設業で働く女性が少ない理由
建設業で働く女性が少ないのには、主に以下の3つの理由が挙げられます。
- 建設業界=男性というイメージ
- 女性のための設備が整備されていない
- 出産・育児との両立の制度が充実していない
ここからは、3つの理由についてそれぞれ詳しく解説していきます。
建設業は男性の仕事というイメージが根強い
「建設業界=男性」というイメージが、女性・男性ともに根強いことが、女性が少ない理由の一つです。
働こうとする女性は、建設業について「力仕事が主」「セクハラ・パワハラがありそう」というイメージを抱く方もいるかと思います。建設業界は男性社会のため「出産や育児との両立は難しそう」と考える方も多いようです。
また、建設業界で働く男性も、女性が少ないために、女性を過剰に特別扱いしてしまうことがあります。「女性には現場仕事はできない」などと決めつけてしまう意識の方もいるかもしれません。
以上のように、女性・男性双方のイメージ・意識によって、女性を建設業界から遠ざけていると言えるでしょう。
女性のための設備が不十分
女性のための設備が整備されていないことも、女性を働きにくくしている要因と言えます。
長らく男性社会だったこともあり、現場のトイレは男女共同であることも多いです。
また、女性のための更衣室やロッカーなどが整備されていないこともあり、男女が一緒に働きやすいとは言えない側面もあります。
こうした現場のハード面から、就業を断念してしまう女性も少なくないでしょう。
出産・育児との両立のための制度が充実していない
理由の一つに、妊娠や出産によって一度職場を離れると、現場復帰が難しいことも挙げられます。
建設業界は、長らく男性社会であったこともあり、産前産後休業や、育児休業の制度が不十分な会社も存在します。
職場の制度面から、建設業界を選ばないという女性も多いです。
建設業で女性の活躍が期待される理由
建設業界で働く女性が少ない中で、女性の活躍が期待される理由は、特に以下の3つが挙げられます。
- 建設業界全体の人材不足
- 建設業の仕事は高いコミュニケーションが必要
- 女性ならではの視点を活かせる
様々な理由により女性が少ない建設業界ですが、女性の力を必要としています。その理由について詳しく見ていきましょう。
建設業界全体が人材不足だから
建設業界が人材不足のため、女性での活躍が期待されているという側面もあります。
現在、建設業界では、男性・女性問わずに人材不足が大きな課題となっています。そのため、業界に人を呼び込む取り組みも行われています。
人材不足を解消するためにも、女性の力が求められています。
高いコミュニケーション能力が求められる
建設業では一般的に、高いコミュニケーション能力を求められる場面が多いことも、理由の一つに挙げられます。
女性は一般的に「コミュニケーション能力が高い」と言われています。現場管理などで複数の事業者や職人さんとの調整が必要な場面などで、女性の共感力が活かされるはずです。
建設業界でもコミュニケーション能力の高さを活かした活躍が期待されています。
女性ならではの視点を活かせるから
女性ならではの視点を活かせるという点でも、活躍が期待されています。
建設業界は未だに男性が多く、異なる視点を取り入れることによって、新しいサービスなどの開発が実現できます。
商品開発や施工にいたるまで、男性視点に偏っていては思いもよらなかった効果が得られるはずです。
職場の多様性を確保し、様々な視点からサービスを展開するためにも、女性の活躍が求められていると言えます。
建設業で働く女性を増やすためには?
様々な課題があるなかで、建設業界に女性を増やすためには、以下のような取り組みが必要です。
- 女性に対する入職支援を行う
- 女性リーダーの育成を行う
- 女性も働きやすいように設備面の整備をする
- 女性も働きやすいように制度面の整備をする
建設業で働く女性が少ない理由には、いくつもの側面があります。女性を増やすための取り組みも、多様な面からのアプローチが必要です。
具体的な事例とともに、女性を増やす取り組みについて見ていきましょう。
女性に対する入職支援
建設業界で女性が働けるようにするためには、女性に対する入職支援が必要です。具体的な取り組みとしては、以下のものが挙げられます。
- 現場を実際にみてもらう機会をつくる
- 建設業界で働く人や会社と接する機会をつくる
- 女性技術者の話を聞くことができる機会をつくる
以上のような取り組みによって、女性が建設業で働くイメージをより具体的に描けるように働きかける会社も増えています。
「建設業=男性」「建設業=力仕事」といったイメージの払拭のために、女性に対して業界を知ってもらう取り組みが不可欠です。
女性リーダーの育成
女性の働きやすさという点で、女性管理職を増やすための取り組みも行われています。
女性リーダーの育成を積極的に行うことで、従来の男性社会からの脱却を図る企業もあるようです。
女性リーダー候補への研修を行ったり、女性社員を部下に持つ社員への研修などが挙げられます。
女性の職場環境改善に大きなアプローチになるだけでなく、女性のキャリアアップを具体的にする意味でも必要な取り組みといえます。
女性も働きやすい設備面での整備
女性を働きやすくするため、ハード面での整備も不可欠です。
例えば、男女共用だった現場のトイレ、更衣室などについて、女性専用のものを作る取り組みが挙げられます。
最近では実際に、女性専用トイレのある現場も増えてきています。そのほか女性に配慮した工具・作業服の導入など、設備や道具の面での整備も進められています。
女性も働きやすい制度面での整備
職場内の制度を見直すことで、働きやすい環境づくりを進める企業もあります。
男性の意識面に対し、ハラスメントや女性に対する過剰な特別扱いの防止に働きかける取り組みなどが挙げられます。
また、女性が出産を経ても職場復帰しやすい環境整備も見受けられます。テレワークや時短勤務、フレックスタイム制といった柔軟な働き方や、産前産後休業や育児休業といった制度の整備です。
男性・女性双方に対して、ソフト面での整備が進められています。
建設業で女性が活躍している職種
女性が建設業界に少ない中で、実際に活躍している職種もあります。
一例として、以下の職種が挙げられます。
建設業と一口に言っても、職種によって働き方は大きく異なります。それぞれの職種で女性がどのように活躍しているのか、実際に見ていきましょう。
建築士
建築士は、女性の活躍がすでにみられる職種です。
柔軟な対応力が求められ、依頼者から相談のしやすさなど、女性の特性が活かされやすい職種でもあります。
また、住宅の建築などにおいては特に、女性ならではの視点が活かされやすい。
大手ゼネコンなどでは分業化が進んでいることもあり、仕事とプライベートの両立がしやすいことも魅力の一つです。
施工管理
現場の管理を行う施工管理の仕事も、女性の能力・特性が活かされやすい職種です。
例えば他事業者や職人さんなどを取りまとめる際の配慮やコミュニケーション能力の面で、活躍がみられるようです。
施工管理については特に人材不足と言われているため、実際に女性を積極的に採用する会社も増えています。
今後のさらなる活躍も期待されていますね。
CADオペレーター
CADオペレーターとは、設計士の指示のもと、CADソフトを使って図面の修正・調整を行う職種です。
以前から女性に向いている仕事として有名で、実際に多くの女性が現場で活躍しています。理由として、女性ならではの感性が活かされやすいという面もあるようです。
左官職人
施工に関わる仕事として、左官職人も女性の適性が高いとされています。
左官職人とは、コンクリートやモルタルを塗って、壁や床などの仕上げを行う仕事です。仕上げ作業のため丁寧な仕事が求められ、特に繊細な女性に適しています。
仕事の性質上、朝型で残業が少ない仕事でもあります。働きやすさという面でも、今後の女性の活躍が期待されます。
まとめ
建設業界で働く女性が少ない理由や、改善のための取り組みについて解説してきました。
建設業で働く女性が少ない理由は、男性・女性の意識面と、設備面にあります。したがって、女性を増やすためには職場内の制度の見直しといったソフト面と、設備の見直しといったハード面双方からの働きかけが行われています。
また、建設業と一口に言っても、職種によってその仕事はまったく異なります。
「建設業は男の仕事」「建設業界は体力的にもきつそう」このような固定観念を捨てて、自分にあった職場・職種を選ぶことが重要です。